研究課題/領域番号 |
18K17909
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研究機関 | 吉備国際大学 |
研究代表者 |
高原 皓全 吉備国際大学, 社会科学部, 講師 (20641327)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 主観的末梢感覚 / 誘発筋電図 / 体性感覚誘発電位 |
研究実績の概要 |
痛み感覚など主観的末梢感覚は身体にとっての障害を知らせる防御機構であり、これらの情報を元にして反射運動などの不随意運動が起こる。末梢受容器由来の感覚入力の情報伝達に関する電気生理学な経路は明らかにされているが、電気生理学的現象とヒトの主観的感覚の関係については不明な点が多い。本研究は、ヒトの主観的末梢感覚に及ぼす運動出力調節(研究課題1)と自律神経系調節(研究課題2)の影響について明らかにすることを目的とした。研究課題1は運動出力時における主観的末梢感覚、誘発筋電図、体性感覚誘発電位について検討した。 被験者は健康な成人男性8名であった。等尺性最大筋力の20%の目標張力を維持するピンチ動作を行わせ、その際の主観的末梢感覚、誘発筋電図F波、体性感覚誘発電位を測定した。測定条件は、力発揮動作を右手で行う条件(右条件)、左手で行う条件(左条件)、筋収縮を行わない条件(対照条件)とした。主観的末梢感覚、誘発筋電図は右手を測定側とし、記録・導出した。体性感覚誘発電位は右手の感覚領域から記録・導出した。 研究課題1では、最大下の力発揮時において、主観的末梢感覚が右条件、左条件ともに対照条件と比較して低下した。誘発筋電図F波は右条件において出現頻度が増加した。体性感覚誘発電位N20成分は全ての条件において変化がみられなかった。骨格筋収縮時において主観的末梢感覚が鈍化することが明らかになったが、この現象と脊髄の興奮性変化、感覚入力変化との関連性は少ないことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
西日本豪雨災害の影響により実験機材の納入、実験開始時期が当初予定していたより遅れたため、一部の実験を次年度に実施することとしたが、平成30年度に予定していた研究課題については概ね遂行でき、運動出力調節時の主観的末梢感覚の変化について明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題2では研究課題1と同様の測定項目を用いて、自律神経系調節時の応答について検討する予定である。今年度予定している研究課題については共同研究者と打ち合わせ済みである。得られた研究成果は国内学会(日本体力医学会大会)で公表し、評価を受ける。原著論文として学術雑誌に投稿する。HPなどのインターネットツールを用いて本研究成果によって得られた知見の普及に務める。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)西日本豪雨災害の影響により実験機材の納入が遅れたため、予定していた実験を一部次年度に実施することとなった。このため、実験被験者への謝金が予定を下回った。また、予定していたよりもスムーズに本実験へと進むことができたため、消耗品費として使用した額が予定を下回った。以上が次年度使用額が生じた理由である。 (使用計画)昨年度実施予定であった実験の一部を実施する。この実験に伴い必要となる消耗品費および被験者謝金として使用する予定である。
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