本研究は、ヒトの主観的な末梢感覚に及ぼす運動出力系調節の影響および自律神経系調節の影響について明らかにすることを目的とした。安静時と比較して最大下の等尺性ピンチ運動時には、主観的末梢感覚が鈍化し、運動側の手の感覚領域における体性感覚誘発電位(SEP)が減衰した。暗算課題時においても、主観的末梢感覚は鈍化したが、SEPに変化はみられなかった。これらのことから、主観的末梢感覚の鈍化は運動出力調節時においても自律神経系調節時においても生じることが明らかになった。また、両調節時におけるSEP変化の違いから、主観的末梢感覚の減衰の誘発因子が感覚入力の抑制以外にも存在している可能性が示唆された。
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