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2021 年度 実績報告書

運動系におけるノルアドレナリンを介した情報伝達・調節機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K17916
研究機関国立研究開発法人情報通信研究機構

研究代表者

横井 惇  国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 研究員 (70795393)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード運動学習 / 到達運動 / 力場学習 / 瞳孔径 / ノルアドレナリン
研究実績の概要

気分や覚醒度など、運動パフォーマンスやトレーニング効果に影響を与える要素は数多く存在するが、それらが運動系にどのような影響を与えるかについては、未だ十分に理解されていない。これら諸要素と関連の深い神経伝達物質にノルアドレナリン(NA)がある。本計画では、NA活動度の非侵襲的な指標である瞳孔径に着目して、ヒト運動系の情報処理におけるNAの機能的役割を明らかにする事を目的に、これまでヒト運動制御・学習研究において提唱・確立されてきた諸々の枠組において運動制御・学習と瞳孔径の関連を系統的かつ探索的に調べてきた。
2021年度に実施した研究課題(新規に実施した実験および既存データの再解析)により、以下の成果が得られた。
(1)到達運動中に様々な大きさの誤差を人為的に加えることにより、誤差の大きさと運動中の瞳孔拡張の強さとの間に正の相関があること、一方で瞳孔拡張と運動修正率との間に負の相関があることが明らかになった。これは、既に報告した瞳孔径(=覚醒度・NA活動度)と運動修正量との間の逆U字型の関係(覚醒度・NA活動度は高すぎても低すぎても運動修正を阻害する)と整合している。すなわち、誤差が大きくなるにつれて運動修正率が小さくなる現象は、誤差による過大な瞳孔(NA)応答によって生じている可能性が示唆された。
(2)多くの先行研究でブロック開始後(=休憩後)の初期の試行においてベースライン瞳孔径が高い値を示すことが知られており、覚醒度や意欲の一過性の上昇と考えられてきた。本研究でも同様の現象が確認されたが、反応時間・運動時間はむしろ延長しており、覚醒度や意欲の上昇から期待される効果とは逆の変化であった。これは、ベースライン瞳孔径が課題に対する主観的な不確実性または難易度を反映する可能性を示唆している。
以上、本課題により運動制御・学習におけるNAの機能的役割の一端を示唆する結果が得られた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 オープンアクセス 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] University of Western Ontario(カナダ)

    • 国名
      カナダ
    • 外国機関名
      University of Western Ontario
  • [雑誌論文] 瞳孔径から覗く運動制御・学習過程2022

    • 著者名/発表者名
      横井 惇
    • 雑誌名

      体育の科学

      巻: 72 ページ: -

  • [雑誌論文] Pupil diameter tracked during motor adaptation in humans2021

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Yokoi, Jeffrey Weiler
    • 雑誌名

      bioRxiv

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1101/2021.04.03.438075

    • オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Pupil-linked arousal modulates sensitivity to error during reach adaptation in humans2021

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Yokoi
    • 雑誌名

      Advances in Motor Learning & Motor Control

      巻: - ページ: -

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 運動学習中の瞳孔径応答2021

    • 著者名/発表者名
      横井惇
    • 学会等名
      第15回「Motor Control 研究会」
  • [学会発表] Pupil-linked arousal modulates sensitivity to error during reach adaptation in humans2021

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Yokoi
    • 学会等名
      Advances in Motor Learning & Motor Control
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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