神経伝達物質ノルアドレナリン(NA)は、宣言記憶への影響が知られているが、運動学習記憶への影響は不明である。本研究では、中枢NA活動度の非侵襲的な指標である瞳孔径に着目して、到達運動を用いた運動学習パラダイムにおいてヒト運動制御・学習と瞳孔径の関連を調べた。課題中の瞳孔径変動のうち、運動中の瞳孔拡張量は感覚予測誤差とその驚きの程度を、ベースライン瞳孔径は環境に対する主観的な不確実性および新奇性を反映することを示唆する結果を得た。また、瞳孔径と運動学習率との間の逆U字型の関係(高すぎる・低すぎるNA活動度は運動学習を低減させる)を示唆する結果を得た。
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