研究課題/領域番号 |
18K17919
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
朴 寅成 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 研究員 (60812302)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | エネルギー代謝 / 睡眠 / サーカディアンリズム / ヒューマンカロリメータ / 性差 |
研究実績の概要 |
本研究は、女性の睡眠障害の一因として、「女性の体内時計が男性に比べて進んでいるために、夜型の社会生活の影響を特に受け易い」という仮説をエネルギー代謝、睡眠時の脳波及び深部体温を全て同一の実験でその影響要因の解明を目的とし研究を行っている。 睡眠に問題の無い健常な若年成人男女を研究対象者(これまでに男性9名、女性10名)とし、1週間にわたる生活・活動記録を行うとともに、睡眠/覚醒リズムをアクチグラフにより測定した。また6日から7日目には睡眠時エネルギー代謝測定を室温、湿度、光を一定に調節したヒューマン・カロリメータで(同時に飲み込み式の体温計で深部体温を連続測定した)、睡眠の精査を睡眠ポリグラフィで試験を行った。なお、女性は性周期の影響のため、卵胞期と黄体期を調整し、両方測定を行った。 男性、女性の黄体期、卵胞期の睡眠構築の比較では、男性が女性の黄体期と比べてStageN3、途中覚醒(WASO)が少ない傾向にあった。しかし、他の睡眠変数ではStageN1, StageN2, StageRの睡眠時間には群間に顕著な差は認められなかった。男性の睡眠時エネルギー消費量は女性の黄体期、卵胞期より有意に高かった(P<0.01)。飲み込み型体温計で測定した深部体温においては、男女で有意な差が認められた。特に経時変化から見た女性の体温変動においては男性と比べて、黄体期では0:00-8:00、卵胞期では6:00-7:00に有意に高かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は計画通りに睡眠に問題の無い健常な若年成人男女を研究対象者にエネルギー代謝、睡眠時の脳波及び深部体温の測定を終了し、分析を進めている。睡眠時のエネルギー代謝また深部体温に関する検討においては経時変化に男女差のあることが示唆される結果が得られている。 現在はデータの整理や分析し、学会発表や活発なディスカッションにて新しい知見もしくは分析方法を得ることを進めている段階であり、当初の計画よりもやや早い進捗状況であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
概ね当初の研究計画に沿って進めていくことになるが、生化学的な指標についての検討を予定より幅広く実施していく(例:女性のエストロゲンとプロゲステロンなど詳細な検討を実施し、研究を遂行していく)。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由;今年度は、特に実験に関しては準備段階であり、来年度における詳細な実験の分析や解析のために費用が増加することが予想される。そのため、次年度への繰り越しが生じた。 使用計画:主な支出は生化学分析の依頼と解析ソフトの購入が考えられる。その他、研究成果発表のため、学会参加旅費に充てられる。
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