研究課題
我々は以前の研究で、食事脂質由来腸内細菌代謝物が長鎖脂肪酸受容体の一つであるGPR40を介して、腸管バリア保護作用に寄与することを明らかにした。その過程で、長鎖脂肪酸受容体に対して食事脂質などの内因性リガンドよりも高い親和性を示す腸内細菌代謝物を存在が明らかとなった (Miyamoto et al., J Biol Chem. 2015)。また、近年の腸内細菌研究の発展に伴い、食事脂質を基質とした腸内細菌代謝物群の同定が行われ、その機能解析・生理作用の解明が期待されている。我々は、これら腸内細菌代謝物群に関して、独自に有する長鎖脂肪酸受容体安定発現株とスクリーニング評価系を用いて、長鎖脂肪酸受容体に対する親和性を行い、高親和性代謝物の同定を試みた。また、長鎖脂肪酸受容体の腸管ホルモン分泌系へ寄与するメカニズムに着目し、腸内細菌代謝物による腸管ホルモン分泌系へ及ぼす影響をin vitro評価系およびin vivo評価系にて検討を行った。さらに、ある種の腸内細菌代謝物に関して、高脂肪食誘導性肥満モデルマウスを作出し、腸内細菌代謝物の抗肥満作用を腸管ホルモン分泌などに着目して検証した。
2: おおむね順調に進展している
長鎖脂肪酸受容体に対する高親和性リガンド(腸内細菌代謝物)の同定に成功した。さらに、長鎖脂肪酸受容体を介して、腸管ホルモン分泌を亢進することを明らかにした。
昨年度、明らかとなった腸内細菌代謝物による宿主への影響を、当研究室が保有する遺伝子改変マウスを用いて、分子レベルでの腸管ホルモン分泌系へ及ぼすメカニズムを解明する。
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