事前に数名の正期産児・早産児の臍帯血や、正常成人の血液検体を用いて、マルチプレックスアッセイを繰り返し行い、アッセイの正確性・再現性を確かめた。その上で、早産児約100例と、(対照群となる)正期産児約100例から同意を得て、臍帯血や生後4-7日、生後2週間、修正満期の頃の児血の検体を収集した。また、先天性消化管閉鎖の児6例からも臍帯血や児血の検体を収集した。マルチプレックスアッセイキットを用いて、合計約100例の臍帯血や児血の消化管ホルモン濃度を測定し、以下の結果を得た。 ①早産児でも正期産児と遜色ないインクレチン分泌を行っている。②胎児期のインクレチンとインスリン濃度や血糖値との間に相関がないことから、胎児期には血糖調節には関与していないと考えられる。③先天性十二指腸閉鎖の児において、インクレチンが正常新生児と同様に分泌されている。 これらのことから、胎児期のインクレチンはインスリン分泌や血糖調整には関与していない こと、そして胎児期のインクレチンの分泌は消化管への物質の通過ではなく、他の機序によって刺激されていることが示唆された(投稿準備中)。 1歳半時点の検体については、本研究の対象者が全員1歳半に達してはいないため、まだ不十分ではあるが、徐々に検体収集が進んでいる。今後解析していく予定である。
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