研究課題
2019年度は1型糖尿病患者のサルコペニア治療を目的とした食事・運動療法の創出を目的とした臨床研究を実施することである。1型糖尿病患者と2型糖尿病患者の骨格筋量や筋力低下に関わる影響について、縦断的に追跡したところ、習慣的に摂取している総エネルギーや総たんぱく質摂取量はリスク因子として選択されず、HbA1cの高値(8%以上)やIGF-1の低値が最も影響力の強いリスク因子であった。したがって、食事や運動などの介入より、糖尿病病態の疾患由来の治療介入を行ったほうが、サルコペニア治療に効果的であることが予測される。一方、糖尿病ではない、サルコペニア高齢者を対象とした追跡研究または、介入研究では、総たんぱく質摂取量1.2g/kg体重、総エネルギー30.0kcal以上の食事管理と低中等強度のレジスタンス運動を併用介入することで、骨格筋量や筋力が有意に改善した。一方、レジスタンス運動の単独介入だけでは、筋力増加を認めるが、骨格筋量の増加は認めなかった。また、総たんぱく質摂取量1.2g/kg体重、総エネルギー30.0kcal以上の食事管理を単独介入した群では骨格筋量が増加したが、筋力増加を認めなかった。したがって、総エネルギーや総たんぱく質摂取を中心とした食事療法と運動療法を併用し、介入効果が期待できるのは疾患性由来ではないサルコペニア(加齢性のサルコペニア)高齢者である可能性が示唆される。サルコペニアを発症した原因をもとに介入方法を適切に選択する必要があるかもしれない。
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Journal of Diabetes Investigation
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10.1111/jdi.13436.