研究課題
定期的運動が糖尿病の予防に有効であることは広く知られているが、運動を実施する余暇時間や環境を確保できないといった理由から、運動を習慣づけることは必ずしも容易でない。そこで、徒歩や自転車などの身体活動量の高い通勤手段、すなわち活動的な通勤(Active commuting)が注目されている。本研究課題では、地域住民を対象としたコホート研究の成績を用い、活発な通勤手段による糖尿病発症抑制効果を検証することを目的とした。はじめに1988年に久山町循環器病予防健診に参加した40-64歳の住民約1300人を前向きに追跡し、通勤形態(徒歩・自転車・自動車等)の違いがその後の糖尿病発症に与える影響について解析を行う予定である。つぎに、直近の健診調査の結果にこの関連を当てはめることで、活動的な通勤を地域に導入した場合にどの程度糖尿病発症を抑制しうるか、集団レベルでの将来推計を行う。2020年度は、前向きコホート研究の追跡データを用いた解析を実施した。概ね解析が完了し、論文執筆を進めている段階にある。また本研究課題では、通勤行動を通した糖尿病予防を最近の日本人に適用しうるか、シミュレーションする予定であった。2020年はCOVID-19の蔓延により、通勤行動を含めて我が国の社会環境が大きく変化した。そこで本研究から得られた知見が、ポストコロナの日本人集団において適用可能であるかを検討するためにウェブ調査を行った。2020年12月に、大手ウェブ調査会社に委託し、同社のモニターを対象として、通勤形態・通勤時間・現在の健康状態について調査を行った。現在はウェブ調査データの整備と解析を進めている。
2: おおむね順調に進展している
1988年(ベースライン)時点の通勤形態とその後の糖尿病発症の関連について、解析が完了し、論文執筆を進めている。また、2017-18年の健診データ整備も完了した。さらに、ポストコロナを見越し、通勤形態に関するウェブ調査を追加実施することができた。
2021年度は、現在執筆中の論文について、早期に投稿を目指す。また、先の解析結果について2017-18年データセットならびにウェブ調査の成績に当てはめを行う。これによって、より活動的な通勤形態を導入した場合の糖尿病発症予防効果の将来推計を行う予定である。
2020年度はCOVID-19の影響で、健診調査の規模を縮小した。それにより予定していた人件費等の支出が減少した。一方でウェブ調査を実施した。2021年度は健診調査での人件費等に使用する予定である。
すべて 2021 2020 その他
すべて 雑誌論文 (13件) (うち査読あり 13件、 オープンアクセス 10件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)
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