研究課題
余暇時間の運動を習慣づけることは必ずしも容易でない。そこで、徒歩や自転車などの身体活動量の高い通勤手段、すなわち活動的な通勤(Active commuting)が注目されている。本研究では、地域住民を対象としたコホート研究の成績を用い、活発な通勤手段による糖尿病発症抑制効果を検証することを目的とした。2021年度は、前向きコホート研究の追跡データを用いた解析を実施した。1988年に久山町の住民健診を受診した40-79歳の非糖尿病者1,208名を14年間追跡した。通勤手段に自転車または徒歩を含む場合を活動的な通勤と定義した。その結果、活動的な通勤者では、非活動的な通勤手段のみの者に比べ、糖尿病発症リスクが有意に低かった。通勤形態別に検討したところ、自転車のみの通勤者では、非活動的な通勤手段のみの者に比べ糖尿病発症リスクが有意に低く、徒歩のみの通勤者ではそのリスクが低い傾向を認めた。以上の研究成果は、第32回日本疫学会学術総会で発表を行った。また英文論文を投稿中である。また本研究から得られた知見が、ポストコロナの日本人集団において適用可能であるかを検討した。2020年12月に、大手ウェブ調査会社に委託し、同社のモニターを対象として、通勤形態・通勤時間・現在の健康状態について調査を行った。608名から回答が得られた。結果として、通勤手段の一部に自転車を利用している者は132名、徒歩を利用している者は297名で、活動的な通勤者は全体の57.2%に上った。解析対象者のうち、糖尿病有病者が26名に限られたことから、通勤と糖尿病有病率の関連は検討ができなかった。通勤手段・通勤時間と肥満の関連を検討したところ、非活動的な通勤時間が長いと肥満を有するオッズ比が高い傾向にあった。以上から、ポストコロナ時代であっても、活動的な通勤が代謝性疾患予防に有効である可能性が示唆された。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (16件) (うち査読あり 16件、 オープンアクセス 13件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 4件)
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