本研究では、地域住民を対象としたコホート研究の成績から、活発な通勤による糖尿病発症抑制効果を検証した。1988年に福岡県久山町の住民健診を受診した40-79歳の非糖尿病者1,208名を14年間追跡した。その結果、活動的な通勤者では、非活動的な通勤手段のみの者に比べ、糖尿病発症リスクが低かった。さらに、この知見が現代の日本人集団において適用可能であるかをウェブ調査により検討した。結果として、活動的な通勤者は全体の半数以上に上り、非活動的な通勤時間が長いと肥満を有するオッズ比が高い傾向にあった。以上から、ポストコロナ時代であっても、活動的な通勤が代謝性疾患予防に有効である可能性が示唆された。
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