研究課題/領域番号 |
18K17926
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
上村 一貴 富山県立大学, 工学部, 講師 (50735404)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 健康教育 / 介護予防 / ライフスタイル / アクティブ・ラーニング / 理学療法 |
研究実績の概要 |
2019年度は、ヘルスリテラシー(HL)の低い高齢者に対する健康教育の効果を検証するためのランダム化比較試験(研究課題2)の介入後評価を完了した。我々は過去に、HL向上と、それによる行動変容・フレイル予防を狙いとして、アクティブ・ラーニングを健康教育に応用し、一般高齢者を対象としたランダム化比較試験で身体活動・機能の改善を報告した。本研究課題では、HLの低い高齢者にフォーカスし、効果検証することを目的とした。65歳以上の高齢者向け体力測定会に参加した174名のうち、HLが低い(HLS-EU-Q16得点が33点以下)と判定された86名から募集し、同意を得た60名(平均74歳、男性20名)を介入群と対照群にランダムに割付した。介入群には、週1回90分、24週間の運動・栄養・知的活動をテーマとした教育介入を行った。対照群には、介入群と同様のテーマの講義形式の講座(1回・90分)を行った。アウトカムは、HLをHealth Literacy Scale-14(HLS-14)により、身体活動を活動量計で測定した歩数と中強度以上の活動により、食習慣を食品摂取多様性評価票により、ソーシャルネットワークをLubben Social Network Scale短縮版 (LSNS-6)により評価した。また、身体機能を握力と通常歩行速度により、抑うつ症状をGeriatric Depression Scale短縮版(GDS-15)により評価した。統計解析は、線形混合モデルにより介入前後の変化を比較し、効果を検証した。HLS-14の伝達的HL得点、歩数、中強度以上の活動、食品摂取多様性得点、LSNS-6、握力、通常歩行速度、GDS-15に介入群で有意な改善が認められた(p<0.05)。この結果から、健康低関心層の主体的な健康づくり力を育てる介入プログラムとしての有効性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題の第2段階として、HLの低い高齢者に対する健康教育の効果を検証するためのランダム化比較試験の介入後評価とデータ分析を完了した。分析結果は、論文として国際誌に投稿中である。また、研究課題の第1段階として、2018年度に開始したコホート研究の対象者はフォローアップ期間にあたる。 これらの状況より、本研究課題は概ね計画通りに進展できており、引き続き予定された計画に沿って進行していく。
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今後の研究の推進方策 |
観察研究(課題1)の対象者のフォローアップ評価を行い、ベースラインのHLがフレイルの新規発生に及ぼす影響を検討する。また、ランダム化比較試験(課題2)の介入後評価から24週間後のフォローアップ評価を実施し、介入の持続効果およびフレイルの予防・進行抑制効果を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度交付予定の直接経費90万円に加え、通信費に使用予定
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