前向きコホート研究(研究課題1)により、ヘルスリテラシーと2年後のフレイルの関連性を検証した。解析対象は、65歳以上のフレイルでない地域在住高齢者218名(平均年齢72.5歳、男性81名〕とした。機能的ヘルスリテラシーをNewest Vital Signにより、包括的ヘルスリテラシーをEuropean Health Literacy Survey Questionnaireにより評価した。2年後のフォローアップ評価における基本チェックリストの合計点が8点以上の場合をフレイル有とした。218名のうち、2年後にフレイル有となったのは25名(11.5%)であった。年齢、性別、教育年数、BMI、歩行速度、認知機能、Comorbidityで調整したロジスティック回帰モデルにおいて、包括的ヘルスリテラシーの得点のみがフレイルと有意な関連を示した〔1SDあたりのオッズ比(95%信頼区間)=0.54(0.33-0.87)〕。包括的ヘルスリテラシーのヘルスケア、疾病予防領域の得点についても同様に有意な関連を示し、いずれも得点が高いほど、フレイルのオッズ比が低いことを示した。包括的ヘルスリテラシーが高い高齢者では、2年後にフレイルを有する危険性が低いことが明らかになった。また、ヘルスリテラシーの低い高齢者に対するアクティブラーニング型健康教育のフレイル抑制効果を検証するランダム化比較試験(研究課題2)のフォローアップ評価を行った。介入終了から18ヵ月後の時点における解析対象者(脱落・欠損データありを除く38名)のフレイル・プレフレイル(基本チェックリストで4点以上)の割合は、介入群で36.8%、対照群で68.4%であった。介入群でフレイル・プレフレイルの割合が少なかったが、カイ2乗検定の結果、統計学的な有意差は認めなかった(p=0.051)。
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