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2019 年度 実施状況報告書

栄養素による小腸吸収上皮細胞のエピゲノム制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 18K17927
研究機関静岡県立大学

研究代表者

本間 一江  静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (80724765)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードスクラーゼ・イソマルターゼ / 酪酸 / ヒストンアセチル化 / HDAC
研究実績の概要

小腸吸収上皮細胞における糖質消化吸収関連遺伝子の発現は、摂取する糖質の量や質によって変化し、その調節には当該遺伝子周辺のヒストン修飾が関与している。これまでに、ラットの絶食後再摂食時における酪酸添加食の摂取が、二糖類水解酵素であるスクラーゼ・イソマルターゼ遺伝子(Si)周辺のヒストンH3のアセチル化および転写共役因子の結合を高め、転写伸長反応を促進することにより遺伝子発現を増大させることを明らかにしてきた。
そこで、酪酸の持つヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害作用に着目し、コンフルエント後のヒト小腸様細胞株Caco-2を用いて、SI遺伝子の発現誘導における酪酸の影響を検討したところ、5 mMおよび10 mMの酪酸は、SIのmRNA発現量を有意に増大させた。また、クロマチン免疫沈降法にて、SI周辺のHDACsの結合とヒストンアセチル化レベルを調べたところ、Caco-2への酪酸およびHDAC阻害剤TSAの暴露は、SI遺伝子周辺のHDAC1の結合量を低下させ、ヒストンH3のアセチル化を高めることが明らかになった。酪酸は分化した小腸細胞において、SI遺伝子の転写領域のヒストンH3アセチル化と転写共役因子の結合を高めることで、SIの遺伝子発現を増大させることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コンフルエント後のヒト小腸様細胞株Caco-2を用いた検討によって、in vivoで観察された酪酸によるSiの発現誘導が細胞の分化促進を介する機構のみならず、分化後の吸収上皮細胞でも起こることが確認できた。一方、細胞の分化に伴うSIの発現誘導について検討するため、C57BL/6マウスの小腸より幹細胞を含むクリプトを得て、Wnt3a、R-spondin3およびNogginを産生するL-WRN細胞から調製したconditioned medium(CM)を用いてマトリゲル内で培養し、幹細胞スフェロイドを樹立した。

今後の研究の推進方策

HDAC阻害作用を持つ酪酸は、様々な幹細胞の増殖を抑制し分化を促進することが知られている。そこで、小腸オルガノイドを用いて、腸管幹細胞から吸収上皮細胞への分化過程におけるヒストンアセチル化を介した遺伝子発現調節を明らかにする。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Sustained effects of resistant starch on the expression of genes related to carbohydrate digestion/absorption in the small intestine.2020

    • 著者名/発表者名
      Rosas-Perez AM, Honma K, Goda T
    • 雑誌名

      Int J Food Sci Nutr.

      巻: Jan 24 ページ: 1-9

    • DOI

      10.1080/09637486.2019.1711362.

    • 査読あり
  • [学会発表] 小腸におけるスクロースの消化吸収関連遺伝子発現のエピジェネティック制御と生活習慣病発症との関連2019

    • 著者名/発表者名
      望月和樹、本間一江、竹田裕子、針谷夏代、合田敏尚
    • 学会等名
      第73回日本栄養・食糧学会大会
    • 招待講演
  • [学会発表] Caco-2における酪酸添加によるスクラーゼ・イソマルターゼ遺伝子の発現変動2019

    • 著者名/発表者名
      鈴木美佑、本間一江、合田敏尚
    • 学会等名
      第73回日本栄養・食糧学会大会
  • [学会発表] Effects of butyrate on sucrase-isomaltase gene expression in intestinal epithelial cells.2019

    • 著者名/発表者名
      Suzuki M, Suzuki S, Takami S, Honma K, Goda T
    • 学会等名
      Asian Congress of Nutrition 2019
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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