研究課題/領域番号 |
18K17931
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研究機関 | 天使大学 |
研究代表者 |
高桑 暁子 天使大学, 看護栄養学部, 助教 (20622129)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Paneh細胞 / αディフェンシン / 腸内細菌叢 / 離乳食 |
研究実績の概要 |
Paneth細胞は自然免疫の主要な作用因子である抗菌ペプチドαディフェンシンを分泌し、腸内細菌の中でも常在菌には殺菌活性を示さず宿主にとって病原性を持つ腸内細菌のみを排除することで、正常な腸内細菌叢を維持し腸内環境の恒常性維持に貢献している。 ほぼ無菌状態で誕生したヒトの腸管には様々な菌が入り込み定着し、生後1ヶ月頃には個体としての安定した乳児型腸内細菌叢が確立すると考えられている。離乳食開始以降、腸内細菌は多様化し2~5歳で成人型の腸内細菌叢になり、健康で生活環境に変化がなければほぼ変化がなく安定する。つまり、離乳期の腸内細菌叢形成が将来的な疾病予防にも重要であると考えられる。 本研究は、離乳期においてPaneth細胞がαディフェンシンを分泌することで、乳幼児の腸内細菌叢を制御し腸内環境の発達に貢献することを明らかにすることを目的とする。具体的には、乳汁栄養から幼児食へと移行する離乳期におけるヒトαディフェンシンであるHD5の定量と16S rDNAメタゲノム解析による腸内細菌叢の解析を行う。 平成30年度はボランティア15組を募集し、母から研究協力の同意を得られた乳児について離乳食開始前3回(①生後7日目頃、②生後1カ月、③生後4カ月)と離乳食開始後3回(④1回食開始後1カ月、⑤2回食開始後1カ月、⑥3回食開始後1カ月)の糞便採取を開始した。また、HD5及び腸内細菌叢に影響があると思われる情報(出産時の状況、栄養方法と回数、乳児の発育状況等)と離乳食開始後の食事内容、進め方についても母親からの聞き取りを行った。 平成30年9月の北海道胆振東部地震の停電で各家庭で保管中の12組の糞便が溶解し、腸内細菌叢の解析が行えなくなった。特に9組分は生後7日目のコントロールとなる糞便であるため、ボランティアを再度募集し糞便採取をやり直した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成30年9月の地震による停電で12組分のサンプルが溶解し、ボランティアを再募集した。令和2年6月頃サンプル採取終了予定となっている。 ボランティアの依頼に時間がかかり大幅な遅れとなったが、8組分のサンプル採取を行うことができ、ほぼ計画通りである14組分の解析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年6月までサンプルの採取が終了予定であり、すべてのサンプル採取が終了した後、HD5の定量と16S rDNAメタゲノム解析による腸内細菌叢の解析を行う。 また、HD5及び腸内細菌叢に影響があると思われる情報や離乳食開始後の食事内容、進め方についてもサンプル採取時に記録をお願いしているため、それらのまとめについても行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
サンプル採取やり直しのため、ボランティアの追加および謝金支払いの次年度繰り越しが生じた。
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