研究課題/領域番号 |
18K17933
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
岩佐 健介 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (00623703)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 神経発達 / 腸脳相関 |
研究実績の概要 |
腸管など消化管に発現している食事性肥満原因遺伝子FFAR4の機能不全が、肥満をはじめとする生活習慣病の発症にかかわることが知られている。また近年生活習慣病における認知症のリスクが高まることが報告されている。故にFFAR4の機能不全は認知症やアルツハイマー病の引き金になっている可能性が考えられる。本研究はFFAR4KOマウスを用いて、腸管FFAR4機能不全により引き起こされる生活習慣病が、認知症リスクを増加させるメカニズムを解析することを目的とする。 本年度はFFAR4KOマウスを用い生活習慣病・認知症リスクに関わる分子の探索を行い、抑制する試薬の長期投与を行った。そのマウスを用いローターロッド(運動能力試験)、Y字迷路・morris water迷路・8時迷路(記憶学習試験)、オープンフィールド(情動行動)、高床式十字迷路(不安様行動)などの行動解析を行った。 またターゲット分子が神経細胞、アストロサイト、ミクログリアのに与える影響を検討するため、初代培養系を用いた実験を行う。本年度はその初代培養実験の検討を行い、実施に向けた準備を行った。 認知症患者数は、近年食生活の変化(DHA摂取量の低下)に随伴するように急激な増加傾向を示している。FFAR4は、腸管など消化管に発現しており、DHAなど中鎖脂肪酸をリガンドとする。つまり、DHA摂取量の低下によるその受容体であるFFAR4生理活性不全が認知症発症率の増加に関わっている可能性がある。本研究の進展はメタボリックシンドロームと神経疾患のいまだ未知なメカニズムに対して、新たな疾患および創薬の観点を提供する。FFAR4を介した腸脳相関を解析することは脂質栄養学的・神経科学的にも大きな意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の課題は、ターゲット分子の探索・抑制効果のある試薬の長期投与である。 3ヶ月、12ヶ月投与したマウスの作製は完了した。 おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
作製したマウスの行動試験の解析、また初代培養系を用いターゲット分子に与える影響を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費に多く支出を出していたが、消費する実験物品の購入が次年度となり差異が生じた。 次年度の支出が多くなる計画となった。
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