研究課題
平成30年度は、若齢および加齢マウスの骨格筋を用い、加齢による筋萎縮とリン脂質代謝に関わる因子との関連性を検討した。加齢マウスは、若齢マウスに比較して筋湿重量、体重当たりの筋湿重量およびヘマトキシリン・エオジン染色により定量評価した筋横断面積が低下した。その結果に一致し、タンパク合成系の主要な因子であるAktおよびp70S6キナーゼリン酸化タンパク発現、Insulin-like growth factor-1 mRNAの低下、タンパク分解系の主要な因子であるユビキチンE3リガーゼ(Muscle RING Finger-1およびAtrogin-1)タンパク発現の増加がみられた。またリン脂質代謝の主要な因子であるリゾフォスファチジン酸アシル基転移酵素(LPAAT)およびリゾフォスファチジルコリンアシル基転移酵素(LPCAT)のmRNAおよびタンパク発現を調べたところ、LPAATには全群で違いがなかったが、加齢マウスの骨格筋においてLPCAT1および2タンパク発現の増加がみられた。これらの結果は、加齢による筋萎縮とリン脂質代謝に関連性がある可能性を示唆する。今後は、LPCATを中心に、加齢マウスの骨格筋萎縮におけるリン脂質代謝の役割を検討する予定である。
2: おおむね順調に進展している
若齢および加齢マウスを用いた実験が遂行できたため、概ね順調に進行している。
今後はマウス由来骨格筋培養細胞を用いて萎縮を誘導し、siRNAによる標的遺伝子の抑制実験を実施する予定である。
購入予定であった生化学および分子生物学実験試薬等の価格と実際の購入価格に違いが生じたため。次年度は、実験動物、生化学・分子生物学実験試薬、細胞培養実験試薬等の購入、国内・国際学会における研究発表での出張に用いる予定である。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)
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