研究課題/領域番号 |
18K17939
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小西 真幸 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 講師(任期付) (10711187)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 潜水反射試験 / 高血圧 / 糖尿病 |
研究実績の概要 |
本年度は潜水徐脈に対する①心肺体力の影響および②潜水徐脈と生活習慣病の有病率の関係を検討した。 ①40-59歳の男性43名を心肺体力の基準値(健康づくりのための身体活動基準2013)により2群に分け、潜水徐脈を比較した。その結果、高体力群と低体力群に年齢や身体組成に差はないが、高体力群の方が低体力群より潜水徐脈が高値を示した(P < 0.01)。潜水徐脈は副交感神経機能を評価しており、中年男性において基準値以上の高い心肺体力を持つ者は高い副交感神経機能を有することが示唆された。先行研究では若年者や高齢者において潜水徐脈と心肺体力の関係が検討されていたが、中年者のデータは本研究によって初めて示された。この成果を第73回日本体力医学会大会にて発表した。 ②男性193人(48-67歳)および女性 81人(44-58歳)の潜水徐脈と生活習慣病の有病率の関係を検討した。統計解析にはロジスティック回帰モデルを用い、年齢(連続変数)、性別(男女)、BMI(連続変数)、身体活動(有無)、生活習慣病の家族歴(有無)、喫煙習慣(3群)、飲酒習慣(4群)を調整した多変量調整オッズ比と95%信頼区間を算出した。その結果、糖尿病の有無と潜水徐脈に統計的に有意な関係が観察された(P for trend = 0.016)。日本人中高齢男女において、糖尿病の有無と潜水徐脈の間に量反応関係が示される可能性がある。この成果を第6回介護予防・健康づくり学会にて発表し、若手奨励賞を受賞した。 また潜水反射試験中の血圧応答のデータも収集しており、今後解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね計画通りに測定を進めている。ただし、学内の実験装置の入れ替えがあり、測定のできない時期があった。その時期にはデータ解析や学会発表の準備、論文執筆を進め、研究全体としてはおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
所属先の変更(大学の異動)があったが、前任校の研究者と連携を取り、今後も継続したデータ収集が可能なことを確認している。具体的には潜水反射試験中の血圧応答のデータ収集を更に進め、年齢別や体力別に潜水徐脈および血圧応答を検討する予定である。 5月下旬にアメリカスポーツ医学会(ACSM)にて学会発表をおこない、本年度中に論文投稿を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
学内の研究設備(MRI)の入れ替えにより、2018年11月~2019年3月の実験が中止となり、次年度使用額が生じた。2019年度は年間を通して実験を進められる予定であり、対象者の幅を広げることで予算を使用できる見込みである。
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