研究課題
本年度は①潜水徐脈と高血圧、脂質異常症、糖尿病の有病率の関連および②潜水反射試験中の血圧変化を検討した。①男性193人(48-67歳)および女性 81人(44-58歳)の潜水徐脈と高血圧、脂質異常症、糖尿病の有病率の関係を検討した。統計解析にはロジスティック回帰モデルを用い、年齢(連続変数)、性別(男女)、BMI(連続変数)、身体活動(有無)、生活習慣病の家族歴(有無)、喫煙習慣(3群)、飲酒習慣(4群)を調整した多変量調整オッズ比と95%信頼区間を算出した。その結果、潜水徐脈と高血圧の間には有意な関連を認めなかったものの、潜水徐脈と同様に副交感神経機能の指標である運動後心拍回復は、高血圧の有無と有意な負の関係を示した(P for trend = 0.047)。また、糖尿病の有無と潜水徐脈に統計的に有意な負の関係が観察された(P for trend = 0.016)。脂質異常症はいずれの指標とも関連を認めなかった。中高齢男女において、糖尿病の有無と潜水徐脈の間に量反応関係が示される可能性がある。②中高齢男女57名に対し、潜水反射試験中の血圧応答を検討した。潜水反射試験中の血圧応答は3つのパターンに分類され、1.明確な増加あり39名、2.変化なし7名、3.明確な低下11名となった。潜水反射試験中に血圧の明確な増加を示した者のうち28名を解析した結果、平均血圧と潜水徐脈に有意な正の相関関係を認めた(r = 0.51, P = 0.006)。また年齢と平均血圧の変化量(=最大値-安静時の平均値)にも有意な負の相関関係を認めた(r = -0.42, P = 0.027)。他の因子による調整やn数を増やした検討が必要であるものの、潜水反射試験中の血圧応答は年齢の影響を受ける可能性がある。
3: やや遅れている
研究代表者の異動により、測定人数が当初の予定よりも少ない。次年度(2020年度)は測定人員を確保できるよう準備を進めている。ただし新型コロナウイルスの状況により、測定そのものを実施できない可能性もある。
潜水反射試験中の血圧応答の測定を更に進める予定である。年齢別や体力別に潜水反射試験中の血圧応答を比較し、学会発表や論文執筆をおこなうことを計画している。ただし、新型コロナウイルスの状況により実験や学会出張が延期や中止になることも考えられる。その場合には、現状のデータを詳細に分析し、学会発表や論文執筆に備える。
研究代表者の異動により測定人数が予定よりも減少し、測定費用がかからなかったため次年度使用額が生じた。次年度(2020年度)は測定人員を確保できる見込みのため、計画通りの測定人数となる予定である。ただし、新型コロナウイルスの状況により計画は変わり得る。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
International Journal of Environmental Research and Public Health
巻: 17 ページ: 180~180
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Archivio per le Scienze Mediche
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