研究課題/領域番号 |
18K17944
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研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
小林 亮太 帝京科学大学, 総合教育センター, 助教 (40803002)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 動脈スティフネス / 身体活動 / 収縮期血圧 / 血糖値 / 経口ブドウ糖負荷試験 |
研究実績の概要 |
研究1 【背景】身体活動が高糖質食後の動脈スティフネスに及ぼす影響について検討することを目的とした。【方法】耐糖能異常の中高齢者20名(年齢 74±1 歳)を対象に3軸活動量計を用いて活動群(10628±1578 歩/日、n=10)および非活動群(3649±559 歩/日、n=10)に分け、75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の負荷前、負荷30、60および90分後に上腕-足首間脈波伝播速度(baPWV)、心臓足首血管指数(CAVI)を測定した。【結果】baPWV、CAVIは非活動群でOGTTの前と比較して後に増大した(p<0.05)が活動群で変化はなかった。baPWVのAUCは日常生活活動(r = -0.5、p = 0.01)、一日歩数活動(r = -0.5、p = 0.05)、一日歩数(r = -0.7、p = 0.01)と相関関係が認められた。【結論】身体活動が高糖質食後の動脈スティフネスと関連することを示唆した。
研究2 【背景】身体活動の増加が高糖質食後の動脈スティフネスに及ぼす影響について検討することを目的とした。【方法】耐糖能異常の運動習慣のない中高齢者19名(年齢 76±1 歳)を身体活動増加群(n=10)および非身体活動増加群(n=9)に無作為で振り分け 4週間の介入を行った。身体活動増加群には強度・時間を問わず毎日身体活動を増加させるように、非身体活動増加群は今までの生活を行うように依頼した。介入前後に75gOGTTの負荷前、負荷30、60、90分後にbaPWV、CAVIを測定した。【結果】介入前のbaPWV、CAVIは両群でOGTT前と比較して後に増大した(p < 0.05)が、介入後は非身体活動増加群でOGTT前と比較して後に増大したが身体活動増加群で変化はなかった。【結論】身体活動の増加は高糖質食後の動脈スティフネス増大を抑制できる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画以上にデータが採取でき、問題なく進めることができています。 また、昨年度の研究成果は国際学術誌に論文として採択されました。さらに、国外・国内学会を通して得られたデータを発表する予定であり、外部への公表の準備もできています。現在は、さらに国際学術誌に論文投稿するために原稿を作成中です。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度における研究では、中高齢者を対象に身体活動量(歩数、生活活動、歩行活動)が多いことが高糖質食後の動脈スティフネス増大を抑制させることを明らかにした。さらに、中高齢者を対象に1ヶ月間毎日の身体活動を増加させることで高糖質食後の動脈スティフネス増大を抑制させることを明らかにした。
最近、厚生労働省は10分程度の身体活動を1日に数回行う程度でも健康上の効果があると推奨しており、動脈スティフネスは低下(Zheng et al. 2015)、食後の血糖値上昇は抑制できる(Holmstrup et al. 2014)ことが報告されている。さらに、日常生活における細切れ(断続的)の身体活動は高齢者も取り入れやすい。本研究は、高糖質食後の動脈スティフネス増大の抑制に日常生活における断続的な身体活動が関与するか否か明らかにする初めての研究であり、国民の動脈硬化症の予防に繋がる臨床的意義が非常に大きい研究であると考えられる。
したがって、2019年度の研究では、日常生活における細切れ(断続的)の身体活動を行うことで、高糖質食後の動脈スティフネス増大を抑制できるか否かを明らかにする。具体的には、中高齢者(15名を予定)を対象とし、1ヶ月間の日常生活における細切れ(断続的)の 身体活動は、高糖質食後の動脈スティフネス増大の抑制は可能か否か、通常の生活活動維持群における高糖質食後の動脈スティフネスと比較する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を予定していた、血糖自己測定の購入費が少なく済んだため。また人件費が不要になったため。
次年度使用額の使用計画 消耗品購入費として使用する。
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