【背景】高糖質食の過剰摂取は一過性に動脈スティフネス(動脈硬化度)を増大させて心血管疾患リスクを高める。本研究は中高齢男女における、①身体活動の増加が高糖質食後の動脈スティフネスに及ぼす影響、②断続的な身体活動が高糖質食後の動脈スティフネスに及ぼす影響について検討することを目的とした。 【方法】①運動習慣の無い中高齢男女19名を無作為に身体活動を増加させる群10名、今まで通りの生活を行う群9名に分け、3軸活動量計を用いて4週間の身体活動介入を行った。身体活動増加群には強度・時間・頻度を問わず少しでも身体活動量を増加させるように依頼した。介入前後に75gOGTT用糖質液の摂取前、摂取30、60および90分後にbaPWV、CAVIを測定した。②日常的に身体活動を実施している中高齢男女14名を対象に連続的な活動(1回30分間以上の活動/日)を実施している群7名、実施していない断続的な活動群7名に3軸活動量計を用いて分析し、75gOGTT用糖質液の摂取前、摂取30、60、90分後にbaPWV、CAVIを測定した。 【結果】①介入前のbaPWV、CAVIは両群において75gOGTT用糖質液の摂取前と比較して摂取後に増大したが、介入後のbaPWVおよびCAVIは身体活動維持群において75gOGTT用糖質液の摂取前と比較して摂取後に増大したが身体活動増加群で変化はなかった。②baPWV、CAVIは両群において75gOGTT用糖質液の摂取前と比較して摂取後に変化はなかった。 【結論】本研究の結果から、中高齢者において強度・頻度・時間を問わず身体活動を増やすことで高糖質食後の動脈スティフネス増大を抑制する重要性が明らかになった。さらに、日常生活下において断続的に身体活動を行うことで、高糖質食後の動脈スティフネス増大を抑制できる可能性が示唆された。
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