研究課題/領域番号 |
18K17952
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研究機関 | 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター |
研究代表者 |
田名辺 陽子 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ研究部, 契約研究員 (90781873)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | クルクミン / トレーニング / 筋肥大 |
研究実績の概要 |
クルクミンは天然生薬ウコンの主成分であり抗炎症作用を有する。我々はこれまでに、運動前後における短期的なクルクミンの摂取が筋損傷を軽減することを明らかにしてきた。一方で、長期的なクルクミン摂取は、慢性疾患の治療や健康を保つために効果的であるが、筋肥大に関してはクルクミンの持つ抗炎症作用が肥大効果を弱めてしまうかもしれない。そこで本研究では、1.長期的なクルクミン摂取がレジスタンストレーニングによる筋肥大および筋機能(筋力・パワー)に及ぼす影響を検証し、2.筋肥大のメカニズムに及ぼす影響を筋線維再生系と代謝系に着目して明らかにすることを目的とした。 本年度は、研究で用いるトレーニングメニューを決定することを目的に、成人男性を対象として予備的な検討を実施した。測定項目・測定方法に関しても検討中である。 その他に、関連する研究として大学体育会に所属する男子サッカー選手20名を対象とし、クルクミン摂取が試合後の筋損傷指標及びフィジカルパフォーマンスに与える影響を二重盲検クロスオーバー試験にて実施した。対象者に、サッカーの試合を90分(45分×2)行わせ、その前後にクルクミンまたはプラセボを摂取させた。現在、筋損傷からの回復に及ぼす影響を検討するため、データ解析中である。これが明らかになることにより、実際の競技現場における新たな栄養面からのリカバリー戦略としてクルクミンが有用である可能性が示される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画では、予備検討から本実験に取り掛かる予定であったが、被験者やMRIなどの機器を確保することができず、本実験が実施できなかった。また、申請者の移動もあり移動先の研究機関にて本実験を行うのが最善であると考えたため、本年度は予備検討と測定方法の確認に留まった。関連する研究として、クルクミン摂取が試合後の筋損傷指標及びフィジカルパフォーマンスに与える影響を検討する実験を実施した。以上より、本年度は研究を遂行しデータが得られていることから、おおむね順調に進行していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
初年度で予備検討したトレーニングメニューを用いて、移動先の研究機関において新しい施設・環境で研究を進める予定である。トレーニング期間は3か月とし、長期的なクルクミン摂取の有無がトレーニングによる筋肥大や筋機能に与える影響を検討する。測定項目は、身体組成、MRIを用いた筋横断面積および最大筋力・筋電図・最大無酸素パワーなどの筋機能評価とする。さらにそのメカニズムに関して筋線維再生系の評価として炎症指標、酸化ストレス指標、代謝系の評価としホルモン、筋中グリコーゲン、リン酸化合物について検討する。これらが明らかになれば、クルクミン摂取は試合時の短期的なコンディショニングのみならず、トレーニング時においても有用であることが予想される。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、実験が予備検討に留まったため、予定していた被験者への謝金等が発生しなかった。次年度は、本年度で行えなかった分、謝金等の人件費に使用予定である。
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