研究課題/領域番号 |
18K17953
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
水之江 雄平 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (80803569)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | リソソーム / 代謝異常 / オートファジー / 骨格筋 / コレステロール |
研究実績の概要 |
オートファジーは異常なたんぱく質や細胞内小器官を分解することで細胞の恒常性を維持する機構で、その分解機構の中心に『リソソーム』が存在する。申請者らは、代謝性疾患や老化でリソソーム内加水分解酵素カテプシンL(CTSL)の機能異常が見られること、それに伴うオートファジー分解低下により異常ミトコンドリアが蓄積することを見出している。そこで本研究では、『CTSL低下によるリソソーム機能異常が代謝性疾患・老化の病態発症起点となっている』という仮説をたて検証を行っている。代謝性疾患モデルとして、コレステロール合成律速酵素である3-hydroxy-3-methylglutaryl-coenzyme A reductase (HMGCR)を骨格筋特異的にノックアウトとしたマウスを用いて、代謝性疾患とリソソーム異常の解析を行った。その結果、骨格筋特異的HMGCRノックアウトにより、横紋筋融解症様の症状がみられること、筋線維内でオートファジー異常が生じることを見出した。オートファジー異常では、オートファゴソームマーカーであるLC3-IIが蓄積することや、リソソームによる分解マーカーであるp62が増加することを明らかとした。同時に、リソソームにおけるコレステロール異常が生じていることを見出しているためめ、これら変化はリソソーム機能異常を示唆するものである。今後はコレステロール代謝異常とリソソーム異常について詳細な解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨格筋における代謝異常とリソソーム機能障害との関連について解析を行った。方法としては、コレステロール合成律速酵素である3-hydroxy-3-methylglutaryl-coenzyme A reductase (HMGCR)を骨格筋特異的にノックアウトとしたマウスを用いて、骨格筋におけるオートファジー・リソソーム機能の解析を行った。その結果、HMGCRノックアウトによる骨格筋特異的なコレステロール代謝障害はオートファジーマーカーであるLC3とp62タンパク質の蓄積を引き起こすことを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
HMGCR骨格筋特異的ノックアウトマウスにおける代謝性疾患のメカニズム解明のために、今後はより詳細なオートファジー・リソソーム機能との詳細な解析を行う。また時期特異的・骨格筋特異的なHMGCRノックアウトマウスを導入し、HMGCRのノックアウトがオートファジー・リソソーム機能障害を引き起こす原因を探索する。そのために、筋細胞株C2C12及びFACSにより単離した筋衛星細胞に分化誘導をかけ樹立した筋管細胞に対し、HMGCRノックダウン/過剰発現操作を行い、リソソーム機能解析を行う。さらにはこれら細胞を用いて、ミトコンドリア選択的オートファジー(マイトファジー)やミトコンドリアの形態を定量的に解析する。 する
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次年度使用額が生じた理由 |
実験支払いの都合上、ごく僅か残金が生じた。
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