近年、「懐かしい」自伝的記憶には短時間の回想で楽観性を高める効果があることが示されてきた。しかしながら、なぜ過去の回想が未来の思考に影響を与えうるのか、そのメカニズムは解明されていない。本研究では、若年健常被験者を対象に、回想課題実施中の脳活動を機能的MRIを用いて計測した。懐かしい記憶の回想の結果、先行研究と同様に楽観性が有意に上昇することが確認された。この変化量は懐かしく記憶を回想した程度と相関しており、楽観性の変化には個人差があることが明らかとなった。さらに、脳活動解析の結果、回想による楽観性の変化は背内側前頭前皮質の活動と関連していることが示された。
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