研究課題
本研究の目的は、高齢者の首尾一貫感覚を高める運動・スポーツ活動の具体的内容を、性別・年齢層別に明らかにすることである。今年度は高齢者の首尾一貫感覚を高める運動・スポーツ活動の内容について、種目および活動形態に着目して検討するためのベースライン調査をおこなった。体力・認知機能測定会への参加を希望した地域在住高齢者421名を対象に自記式質問紙調査をおこない、367名からデータを収集した。収集したデータは整備をおこない、次年度のフォローアップ調査・測定のデータと突合し解析する準備を整えた。今年度の首尾一貫感覚、運動・スポーツ活動、体力、認知機能のデータをすべて収集できた者は341名であった。これらのデータから、運動・スポーツ活動の活動形態に着目して首尾一貫感覚との横断面における関係を検討した結果、前期高齢者の男性において、他者との運動・スポーツ活動の頻度が多いほど有意に首尾一貫感覚が高く、特に同性の仲間と活動をしている場合に首尾一貫感覚が高いことが観察された。一方で、一人でおこなう運動・スポーツ活動は首尾一貫感覚と有意な関係を認めなかった。さらなる解析はフォローアップ調査・測定のデータ収集後におこなう。フォローアップ調査・測定は次年度夏ごろに実施予定である。ベースライン調査・測定の参加者あてに案内状を送付し、参加希望者に対して今年度と同様の流れで自記式質問紙調査および体力・認知機能測定をおこなう。
2: おおむね順調に進展している
今年度計画していたとおり、研究1「SOCを高める運動・スポーツの種目・活動形態」のベースライン調査・測定を行い、データ収集および整備を完了している。
次年度は、研究1「SOCを高める運動・スポーツの種目・活動形態」のフォローアップの調査・測定を行う。調査内容は今年度実施したベースラインの調査・測定と同様のものであるが、今年度の参加者には、できるだけ早期に次年度調査の案内状を送付する。その際、継続的に調査を実施する研究的意義や参加者本人へのメリットを強調し、フォローアップ率の向上に努める。データ収集後は、雇用予定の研究補助員の協力のもと、ベースラインデータとともに解析を行い、できるだけ早期に研究成果を公表できるよう努める。また次年度は、研究2「SOCを高める運動・スポーツ活動の強度、頻度、時間」のベースライン調査・測定も実施する。測定に用いるアクチグラフの数が限られているが、3地点で調査・測定を実施するため、スケジュールを調整することにより、当初の予定より多くの参加者にアクチグラフを配布しデータを収集できるようにする。データ収集後は、横断データでの知見も成果発表できるよう、収集したデータは早期に解析する。
情報収集のために「旅費」として2学会への出張費用を計上していたが、1学会は別の予算で出張をしたため、予定よりも使用額が少なくなった。また、「人件費・謝金」についても、研究補助員の雇用が予定より短い期間で済んだため、使用額が少なくなった。アクチグラフを使用する研究2の対象者数が、当初の計画よりも多くなる可能性が高いため、差額分は、次年度のアクチグラフの追加購入費用に割り当てる。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 1件)
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