研究課題/領域番号 |
18K17962
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松永 恵里奈 (城尾恵里奈) 京都大学, 医学研究科, 特定医療技術職員 (40737871)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | GIP / インクレチン / 魚油 / 肥満 / インスリン抵抗性 |
研究実績の概要 |
Gastric inhibitory polypeptide (GIP)は、食事摂取によって小腸から分泌される消化管ホルモンである。高脂肪摂取はGIP分泌を強く刺激し、慢性的なGIPの過分泌は肥満やインスリン抵抗性を助長する。一方、魚油を多く含む高脂肪食は動物実験において、他の油脂に比べ脂肪蓄積を抑制することが分かっており、我々は、マウスにおいて魚油で構成される高脂肪食が、他の油脂で構成される高脂肪食に比べ、GIP分泌を刺激しないことを確認している。そこで本研究では、慢性的な食事中の脂質源の違いが及ぼす脂肪蓄積やインスリン抵抗性の差に、GIP分泌の差がどの程度、どのように寄与するのかを明らかにする。我々は、AIN-93Gをベースとし、主たる油脂源をそれぞれ魚油・ラード・オリーブ油とした3種類の45kcal%脂肪食(魚油食・ラード食・オリーブ油食)を作成し、現在それらの野生型マウス(WT)およびGIP欠損マウス(KO)への長期負荷を行っている。長期負荷16週目のKOの体重は、WT同様、ラード食群やオリーブ油食群に比べ魚油食群で有意に低値であった。また、同じ食餌同士の比較では、すべての食餌において、WTに比べKOで体重が有意に低値であった。随時血糖値は魚油食群のWTとKOが他の群に比べ有意に低値であり、随時インスリン値は体重と同様の傾向を示した。以上より、高脂肪食摂食による肥満は、部分的にGIPの過分泌を介して引き起こされることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
野生型マウスとGIP欠損マウスへの高脂肪食長期負荷を開始し、順調に表現型の解析が進んでいるため。
|
今後の研究の推進方策 |
野生型マウスとGIP欠損マウスへの高脂肪食長期負荷における、糖負荷試験・インスリン負荷試験・基礎代謝測定・脂肪や肝臓の重量及び形態観察等さらなる表現型の解析を進める。また、長期負荷試験後の脂肪及び肝臓のmRNAを用いてマイクロアレイ解析を行い、摂取する油脂の違いによる遺伝子応答の差及びその中でGIPを介して応答する遺伝子群について網羅的解析を実施する。
|