Small for gestational age(SGA)児は低身長症や、糖尿病、高血圧、脂質異常症などのいわゆるメタボリック・シンドロームのリスクが高く、生涯にわたる内分泌学的な問題を有する頻度が高い。私たちは、これまでにSGA児の内分泌学的問題や学童期における血圧高値などを報告してきたが、SGA児は不均一な集団であるため、症例による差が大きい。 これらの病態の多くが胎生期にプログラムされると考え、出生時の情報から将来のインスリン抵抗性や発育障害、メタボリック・シンドロームなどを予見し、早期発見・治療介入による成長予後改善やメタボリック・シンドロームの発症予防を目指し、インスリン抵抗性指標として、IGF-1/C-peptide比やHOMA-Rを使用し、出生時から生後1歳6か月までの発育状況や各種血液検査データ、血圧データ等を収集し、インスリン抵抗性と発育状況の関連やこれらと関連する因子を検討した。 SGA児は臍帯血のIGF-1値が有意に低値で、出生後にcatch-up良好な児はIGF-1値が臍帯血に比べて上昇したが、catch-up不良な児ではIGF-1値は低値が持続した。しかし、catch-up良好な児において発育とIGF-1値は必ずしも相関しなかった。IGF-1/C-peptide値も同様の傾向だったが、IGF-1値の影響が大きかった。HOMA-Rや各種血液検査データ、血圧値と発育は明らかな相関は認めなかった。 今回の研究でSGA児の出生後の発育について、IGF-1値の経過が予測因子となる可能性が示唆されたが、他の関連因子との関係を明らかにすることでメタボリック・シンドロームや他の内分泌的問題の病態解明につながる可能性があると考える。
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