研究課題
慢性腎臓病(CKD)が重症化すると食欲不振がしばしば観察されている。食欲不振は筋萎縮の原因となり健康寿命や生命予後に影響することから、脳機能の改善を目指し、ヒト脳細胞を用いて脳機能や神経伝達物質の代謝に及ぼす分子の発現調節メカニズムについて検討した。アルツハイマー型認知症の治療標的となっているApoE、またドーパミンの合成に重要なチロシン水酸化酵素について核内受容体を介した発現調節メカニズムを明らかにした。さらに、これらの遺伝子発現を誘導する化合物を同定した。食欲との関係については動物モデルを用いた今後の検討が必要である。次に、筋培養細胞を用いてビタミンDおよびHMB/Arg/Lys、FGF19による直接的影響を検討した。インドキシル硫酸添加(1mM、72時間)によって誘導したCKDモデルC2C12細胞に対して25水酸化ビタミンD(10μM)もしくは活性型ビタミンD(10nM) 、HMB/Arg/Lys(50nM)、FGF19(50ng/mL)を同時添加した際のMyHCや筋代謝分子(ミオスタチン、Atrogin-1など)の発現をリアルタイムPCRを用いて比較検討した結果、活性型ビタミンDが筋分解を抑制することが明らかとなった。インドキシル硫酸添加した筋細胞では、HMB/Arg/Lysの作用が減弱した。FGF19はインドキシル硫酸添加条件でも筋合成を促すことから、活性型ビタミンDとの相乗効果が期待できる。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
ACS chemical neuroscience
巻: 12 ページ: 857-871
10.1021/acschemneuro.0c0