研究課題/領域番号 |
18K17970
|
研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
栗田 宜明 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 特任教授 (80736976)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 受容 / 健康関連ホープ / AAQ-II / HR-Hope / 慢性腎臓病 / 慢性疾患 / アドヒアランス / KDQOL |
研究実績の概要 |
[研究1. 受容・ホープとセルフケアの関係のメカニズムの検討] 昨年度の活動に続いて、日本透析医学会学術集会・総会にてワークショップが行われ、受容が透析期の心理面に作用するメカニズムを発表し、議論を行った。続いて、日本腎臓学会学術総会にて教育講演を行い、受容とホープが慢性腎臓病患者のセルフケアや精神機能、身体機能に及ぼす影響について議論を行った。この知見をふまえて、予備解析に臨んだ。 [研究2. 受容・ホープとセルフケアの関係の解析] 昨年度に続き、慢性疾患のモデル疾患として、保存期慢性腎臓病、血液透析患者、腹膜透析患者に対して縦断研究を行った。ベースラインの受容が縦断的なホープを高めるかどうかの検証を2年間にわたるデータで行った。ベースラインと1年後・2年後のデータで評価可能な957観測数を対象に、線形混合モデルで分析を行った。 年齢・性別・原疾患・併存疾患などで補正しても、AAQ-IIで測定された受容スコアが良好(スコアが高い程良好)であるほど、1年後のホープ得点も、2年後のホープ得点も高く、影響の大きさは類似していることが明らかとなった。 続いて、ベースラインの受容がセルフケアのアドヒアランスを高めるかどうかの検証を、同様のデータで行った。評価可能な930観測数を対象に、線形混合モデルで分析を行った。セルフケアのアドヒアランス指標としてKDQOLの腎疾患の日常生活への影響のドメインに含まれる制限のスコアをアウトカム指標とした。AAQ-IIで測定された受容スコアが良好であるほど、1年後も2年後も制限のスコアは良好であった。ベースラインのホープや、時間で変動するホープで補正しても、同様の関係性が得られたが、関係性の大きさが減弱した。従って、慢性疾患の受容が高いほどアドヒアランスは高いが、その影響の大きさの一部は受容によって高値となるホープによって説明できる可能性が明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究で、慢性腎臓疾患において、受容がホープに関係することを示した。加えて、受容がセルフケアに与える影響のメカニズムは、ホープが介在することを考慮しても存在しうることを実証することができた。概ね計画通りと考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
研究課題の本調査についてはおおむね完了したが、欠測値などの処理も考慮して結果の不確実性を考慮した検討を行い、引き続き研究命題の検討を続ける。加えて、受容やホープに関連性する慢性疾患の心理・認知状態を考慮して分析を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究課題の本調査で、縦断データの分析の結果資料作成のための研究補助が必要とし、今年度と来年度にわたって計画的に謝金を支払うこととしたため。結果の検討と論文化のための会議は、新型コロナウイルス感染症による影響で、来年度に実施を検討する。
|