研究課題/領域番号 |
18K17973
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
荻 寛志 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (70563188)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 行動指標抽出プログラム / 疾患モデル / 神経幹・前駆細胞 |
研究実績の概要 |
当初行動実験に予定していた施設の改修工事が2019年6月まで実施され、工事後、施設利用制限事項が追加されるなど計画していた動物実験の遂行が困難となり計画見直しが必要となった。見直し後は、独自に樹立したヒト胎児脳由来神経幹・前駆細胞(NSPCs)から作製した脳オルガノイドによる胎生期曝露モデルを用い、アルコールや環境化学物質の胎生期曝露の影響を形態学的・分子遺伝学的に解析し、スクリーニング系の開発を実施中である。 【自動計測系行動実験の解析・数値モデル化指標の妥当性検証】昨年度検討した行動実験用解析・数値モデル化指標について、別途実施した疾患モデル動物データを用いて妥当性の検証を行い、疾患群と対照群で統計学的な差が得られるものであることが確認できた。 【NSPCs疾患モデル】計画見直し後の取組みとして、まずアルコールや環境化学物質を用いず、NSPCsを二次元培養下で神経細胞に分化誘導した際のハイスループットスクリーニング系確立について検討を実施した。検討に際しては神経細胞・グリア細胞のマーカーたんぱく質の免疫染色を用いることで分子生物学的にエビデンスが取れるものを優先した。引き続いて、アルコールや環境化学物質曝露がNSPCsへ与える影響の評価として、まず細胞増殖に関する評価実験を開始した。環境化学物質としてはプラスチック製品原材料であるBPA(Bisphenol A)を用いた。いずれも極低濃度のアルコールとBPAをNSPCsに曝露し細胞増殖の評価を実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初行動実験に予定していた施設の改修工事が2019年6月まで実施され、工事後、施設利用制限事項が追加されるなど計画していた動物実験の遂行が困難となり計画見直しが必要となった。見直し後は、独自に樹立したヒト胎児脳由来神経幹・前駆細胞(NSPCs)から作製した脳オルガノイドによる胎生期曝露モデルを用い、アルコールや環境化学物質の胎生期曝露の影響を形態学的・分子遺伝学的に解析し、スクリーニング系の開発を実施中である。 また、年度末には新型コロナウィルスの影響が出始めたため、実験がやや滞っている。
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今後の研究の推進方策 |
まず細胞増殖に関する評価実験についてサンプル数を増やし結論を得る。以降、神経細胞・グリア細胞分化への影響評価、単一細胞RNA-seq法による遺伝子プロファイル取得とin silico疑似時間解析法による個々の細胞分化を規定する特徴遺伝子の抽出、疾患モデルにおいて影響を受けている細胞分化関連遺伝子群、特に興奮性神経細胞/抑制性神経細胞分化に関連する遺伝子群の特定を通して、脳形成異常を示す化学物質スクリーニング系の確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初行動実験に予定していた施設の改修工事が2019年6月まで実施され、工事後、施設利用制限事項が追加されるなど計画していた動物実験の遂行が困難となり計画見直しが必要となった。見直し後は、独自に樹立したヒト胎児脳由来神経幹・前駆細胞(NSPCs)から作製した脳オルガノイド等による胎生期曝露モデルを用い、アルコールや環境化学物質の胎生期曝露の影響を形態学的・分子遺伝学的に解析し、スクリーニング系の開発を実施中である。 次年度は、NSPCsによる疾患モデルを用いたアルコール・環境化学物質が神経分化に与える影響評価と、遺伝子プロファイル解析を通した化学物質スクリーニング系確立のために研究予算を執行する。
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