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2021 年度 実績報告書

ビオチンによるβ酸化調節因子ACC2制御機構解明とメタボリック症候群予防への応用

研究課題

研究課題/領域番号 18K17974
研究機関神戸大学

研究代表者

湯浅 正洋  神戸大学, 人間発達環境学研究科, 助教 (00756174)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードビオチン / エネルギー消費量 / 褐色脂肪組織 / Ucp1 / Pgc-1α
研究実績の概要

2020年度までの検討では,サプリメントレベルのビオチン長期投与によるラットのエネルギー消費量増大は,特に肝臓・褐色脂肪組織(BAT)のカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ(CPT)活性の上昇によるものであった.一方,この現象には当初予想していた肝臓におけるAcc2遺伝子発現の変動は関与しておらず,ビオチンによるエネルギー消費量増大はBATにおけるβ酸化関連酵素の遺伝子発現量上昇が関与することを明らかにした.これらの検討をもとに,本年度はBAT活性化因子の遺伝子発現量,エネルギー消費上昇に対する交感神経系の影響の有無,および各種組織におけるビオチン含量を測定した.
ビオチン投与群におけるBATのUcp1とPgc-1α遺伝子発現量が約2倍に上昇していた.前年度までのβ-酸化関連酵素の遺伝子発現量上昇を踏まえると,ビオチンはBATの熱産生を上昇させると推察された.この一因として,交感神経系への影響の一部を確認するために,BATにおけるβ3アドレナリン受容体の遺伝子発現量と血漿ノルアドレナリン濃度を定量したが,これらには変動は認められなかった.
他方,本研究でターゲットにした主要な組織(肝臓・BAT・白色脂肪組織[WAT]・筋肉)におけるビオチンの蓄積の有無を確認したところ,ビオチン投与によりBAT・WAT・筋肉で顕著なビオチンの蓄積がみられる一方,肝臓ではほとんど蓄積していなかった.
以上より,ビオチンによるエネルギー消費の増大にはBATの熱産生の上昇が寄与すること,その機序としては現時点で交感神経系への影響は小さい可能性が示唆された.既報では,ビオチン濃度が細胞内で上昇すると,シグナル伝達やヒストンの化学修飾が変化し,結果的に種々の遺伝子発現を変動することが知られている.このため,BATにおける種々の遺伝子発現量の変動は,ビオチンがBATに蓄積したためであると推察された.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] ビオチンはエネルギー消費を亢進する2021

    • 著者名/発表者名
      湯浅正洋, 髙士友恵, 川邊田晃司, 石見百江, 古場一哲
    • 学会等名
      日本ビタミン学会第73回大会
  • [図書] ビタミン・バイオファクター総合事典(担当部分:2.8.5 栄養学[栄養疫学]in 2.8 ビオチン)2021

    • 著者名/発表者名
      日本ビタミン学会(担当部分の著者:湯浅正洋,渡邊敏明)
    • 総ページ数
      672(担当部分:pp. 263-266)
    • 出版者
      朝倉書店
    • ISBN
      978-4-254-10292-5

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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