• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

高血圧症に関連するサルコペニア治療の新規分子レナラーゼの網羅的開発研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K17975
研究機関つくば国際大学

研究代表者

吉田 保子  つくば国際大学, 医療保健学部, 講師(移行) (60759851)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードサルコペニア / レナラーゼ / 塩分摂取
研究実績の概要

サルコペニアは筋肉量の減少と筋力の低下を特徴とした症候群である。一方食塩感受性高血圧とは、食塩摂取により惹起される本態性高血圧症であるが、最近高血圧患者において下腿骨格筋にNa+が蓄積し、骨格筋が食塩感受性高血圧症の病態に関与することが報告された。また、レナラーゼは主に腎で発現する血中酵素であるが、食塩負荷において血圧調節に関与することが報告されている。このレナラーゼが骨格筋においても発現があり、また白筋と赤筋における発現の差異を突き止めた。
本研究の目的は、食塩感受性高血圧における骨格筋の関与とレナラーゼとの関連を明らかにすることによるサルコペニアの病態の解明である。
昨年度入手した本研究の主要物質である「レナラーゼ」遺伝子を欠損させたマウスと同系列のワイルドタイプマウスを並行して飼育し、①ワイルドタイプ0.3% NaCl餌を摂取群、②ワイルドタイプ8%NaCl高食塩餌を摂取群、③レナラーゼノックアウト0.3% NaCl餌を摂取群、④レナラーゼノックアウト8%NaCl高食塩餌を摂取群の4群にて実施し、3か月摂取群で実験した。比較内容は、体重測定や筋力の測定、腎臓と骨格筋を採取し、各臓器の重量および全RNAを回収した。次世代シーケンシング(NGS)による解析を実施した結果、ミオシン重鎖アイソフォームに差異がみられた。更なる解析のためリアルタイムPCRにおいても同様に差異があることを確認した。現在、同様にタンパク質の発現を確認中である。
また、今年度は本研究に関連するヒト対象実験を実施することが出来た。ヒト対象実験では塩分摂取の多少により筋力および体脂肪率に有意差があることを確認することが出来た。
また細胞実験に関しては、今年度も同様にC2C12細胞にて分化誘導をおこないNacl添加による、サルコペニア関連分子の遺伝的発現と蛋白発現について分析している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

動物実験においては、当初ワイルドタイプ(野生型)における①0.3% NaCl餌を摂取群、②8%NaCl高食塩餌を摂取群の2群にて実施する予定であった。しかし本研究の主要物質である「レナラーゼ」遺伝子を欠損させたレナラーゼノックアウトマウスを入手することができたために、繁殖させ、ジェノタイピング(遺伝子型決定)試験を行いながら実験を実施したため、予定より時間を費やすことになっている。同系列のワイルドタイプマウス(野生型)とレナラーゼノックアウトマウスを入手することにより、①ワイルドタイプ0.3% NaCl餌を摂取群、②ワイルドタイプ8%NaCl高食塩餌を摂取群、③レナラーゼノックアウト0.3% NaCl餌を摂取群、④レナラーゼノックアウト8%NaCl高食塩餌を摂取群の4群にて比較試験を実施できている。国内においてレナラーゼノックアウトマウスを使用しての実験は大変少なく、またサルコペニア関連実験は世界的にも、現在のところ実施されている報告はない。計画当初より詳細な分析が可能と思われる。
また今年度は計画当初予定に加えていなかった、同内容のヒト対象実験を実施する機会があった。結果は、実験中のマウス実験と矛盾しない内容であった。現在、雑誌論文として投稿中である。
細胞実験においては、昨年同様にC2C12細胞にて分化誘導をおこないNacl添加による、サルコペニア関連分子の遺伝的発現と蛋白発現について分析している途中である。
全体的におおむね順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

動物実験においては、①ワイルドタイプ0.3% NaCl餌を摂取群、②ワイルドタイプ8%NaCl高食塩餌を摂取群、③レナラーゼノックアウト0.3% NaCl餌を摂取群、④レナラーゼノックアウト8%NaCl高食塩餌を摂取群の4群で大きく差異のある様々な物質があることが分かった。その中から骨格筋の構造タンパクであるミオシン重鎖タンパク(myosin heavy chain、MYH)のアイソフォームの各発現量を赤筋繊維(遅筋・ヒラメ筋)、白筋繊維(速筋・足底筋、腓腹筋)それぞれで解析を進めている。またⅠ型筋繊維(赤筋繊維、遅筋)と Ⅱ型筋繊維(白筋繊維、速筋)の分布変化についても解析を進めている。解析結果は一部を今年度の学会にて報告したが、次年度も学会にて発表予定である。同様に、雑誌論文にも投稿をしていく予定である。
ヒト実験においては、今年度の結果を経時的に観察していこうと考えている。またサンプル数を増やしての解析も行っていく予定である。
細胞実験においては、今後C2C12細胞だけでなく他の骨格筋細胞についても検討したいと考えている。また比較し難い物質に関しては細胞内におけるレラナーゼの過剰発現、またはノックアウトさせるなどin vitro系の試験でも解明を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初ワイルドタイプ(野生型)における①0.3% NaCl餌を摂取群、②8%NaCl高食塩餌を摂取群の2群にて実施する予定であったが、本研究の主要物質である「レナラーゼ」遺伝子を欠損させたレナラーゼノックアウトマウスを入手することができたために、①ワイルドタイプ0.3% NaCl餌を摂取群、②ワイルドタイプ8%NaCl高食塩餌を摂取群、③レナラーゼノックアウト0.3% NaCl餌を摂取群、④レナラーゼノックアウト8%NaCl高食塩餌を摂取群の4群にて比較試験を実施しているが、比較試験までに繁殖させ、ジェノタイピング(遺伝子型決定)試験を行っていたため、実験が後ろ倒しになっている。今年度は実験の結果の一部として学会発表のみであったが、次年度は最終年度のまとめとして、現在の実験を終了させ学会発表と同時に雑誌論文への投稿を行っていく予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 その他

すべて 学会発表 (1件) 備考 (2件)

  • [学会発表] サルコペニアのオートファジーとレナラーゼ酵素の関与について2019

    • 著者名/発表者名
      吉田保子
    • 学会等名
      一般社団法人 日本臨床検査医学会
  • [備考] researchmap

    • URL

      https://researchmap.jp/_YasukoYoshida

  • [備考] つくば国際大学 教員紹介

    • URL

      https://www.ktt.ac.jp/tiu/disclosure/faculty-hs/mt/yoshida-mt.pdf

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi