研究課題/領域番号 |
18K17979
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
吉本 隆彦 昭和大学, 医学部, 講師 (20747365)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 腰痛 / メタボリックシンドローム / 健康診断 |
研究実績の概要 |
腰痛を生物心理社会モデルで捉える風潮が浸透してきている中、腰痛に対する生活習慣の影響は大きく、腰痛を運動器の生活習慣病ととらえることもできる。この概念を支持するエビデンスは蓄積されてきているものの未だ十分ではなく、我が国の報告は少ないのが現状である。 主要な生活習慣病の集積状態であるメタボリックシンドロームは、心筋梗塞や脳卒中などのアウトカムとの関連が謳われて久しいが、運動器疼痛の代表格といえる腰痛との関連を調査した報告は非常に少ない。そこで、平成31年度(令和元年度)は、健康診断ビッグデータを用いて、腰痛症とメタボリックシンドロームとの関連について、その構成要素の集積も踏まえて検討した。その結果、女性では腰痛とメタボリックシンドロームに有意な関連があり、メタボリックシンドロームに該当する者は、そうでない者と比較して、2.2倍腰痛症になりやすいことが明らかとなった。本結果を原著論文としてまとめ、国際学術誌Biology of Sex Differencesに掲載された(Yoshimoto T, et al. Biol Sex Differ 2019)。 さらに、modifiable factorsである不健康な生活習慣の集積が腰痛とどのような関連にあるのかを検討したところ、不健康な生活習慣が集積されると、dose-dependentに腰痛と関連があることを見出した。その結果を、第78回日本公衆衛生学会総会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に、大規模データのクリーニングを終え、腰痛と血清脂質の関連を見出した(Yoshimoto T, et al. Lipids Health Dis 2018)。その後、腰痛とメタボリックシンドロームの関連を見出し、国際学術誌に報告することができた(Yoshimoto T, et al. Biol Sex Differ 2019)。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、腰痛と不健康な生活習慣の集積との関連についての詳細な解析を進め、国際学術誌への投稿を進めていく。 また、全日本労働福祉協会の健康診断データを縦断的に解析する準備を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加した学会の一つ(日本運動器疼痛学会)が都内で開催されたため、交通費・宿泊費ともに予定より抑えられたことで、次年度使用額が生じた。 翌年度分として請求した助成金と合わせて、2020年度に参加する学会参加費および消耗品購入等に充てる予定である。
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