研究実績の概要 |
サルコペニアは、「加齢に伴う筋量や筋力の低下」と定義されている。超高齢社会に突入した我が国において、要介護リスクであるサルコペニアを早期に発見し、予防・改善の対策を行っていくことは重要である。しかしながら現在、国民がサルコペニアか否かを一般的に判別できるような環境は整備されていない。 そこで本研究課題では、下腿周囲径計測によるサルコペニア簡易評価の臨床的意義とその確立に向けた研究の実施を目的とし、肥満や年代等どのような特性を有する対象者であっても下腿周囲径計測によりサルコペニアの評価が可能かを検討した。さらに、誰もが使用可能で、より高精度なサルコペニア簡易評価のための推定式の開発を行った。 本研究の結果、肥満状況や年代にかかわらず、下腿周囲径は筋量の簡易評価に適用できる可能性が示唆された(Kawakami et al., Geriatr Gerontol Int, 2020, doi: 10.1111/ggi.14025)。また、下腿周囲径を含む簡易な形態計測指標(身長、体重、腹囲、下腿周囲長)を用いた筋量の推定式を作成した(Kawakami et al., Clin Nutr, 2021, doi: 10.1016/j.clnu.2021.09.032)。さらに、除脂肪指数が筋量の簡易評価に適用できる可能性が示され、その推定精度は下腿周囲径よりも高精度であることが示唆された(Kawakami et al., J Am Med Dir Assoc, 2022, doi: 10.1016/j.jamda.2022.08.016)。
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