本研究では、ミラクルフルーツ抽出物の肥満予防効果を検討するため、高脂肪食摂取による肥満誘導モデル動物を用いた試験を実施した。 まず、C57BL/6J雄性マウスを用いた高脂肪食摂取による肥満誘導の妥当性を、通常飼料を与えたコントロール群と高脂肪食を与えた高脂肪食群の体重から比較した。その結果、コントロール群と比較して高脂肪食群の体重や各種脂肪重量が有意に増加したことから、本試験においては適切に肥満誘導が行えたことが示唆された。高脂肪食群とミラクルフルーツ抽出物を添加した高脂肪食を摂取した試験群とを比較検討したところ、試験群で小腸周囲脂肪重量では有意な減少を示した。しかしながら、体重では減少傾向ではあったものの統計学的に有意な差は認められず、また、血液中や肝臓中のトリグリセリド量ならびに腹部周囲脂肪など、小腸周囲以外の脂肪重量では有意な差は見られなかった。摂餌量の差や、継続して体重が減少する個体、異常な行動を示す個体、臓器等に異常な所見が見られる個体などは見られず、血漿中のAST・AST量などの肝臓障害の指標も正常値であった。 脂肪組織の組織学的解析の結果、小腸周囲脂肪においては脂細胞肪サイズが減少したが、組織重量と同様にその他の脂肪組織では高脂肪食群とは差が見られなかった。また、脂肪的表面タンパク質のmRNA発現量はどの脂肪組織においても変化は見られなかった。 ミラクルフルーツ抽出物摂取による安全性について問題は見られなかったが、抗肥満効果については本研究で結論付けるのは困難であった。
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