研究課題
フルクトースは、誰しもが日常的に摂取する天然甘味料である。消費量はここ数十年で10倍以上に増加しており、様々な疾患の原因になることが知られている。フルクトースの大量消費社会に伴い、妊婦の消費量も増えている。しかし、母体を介したフルクトース摂取が子どもの発達に与える影響は不明であり、科学的な実証が求められている。近年「健康や疾患の素因は胎児期における環境要因によって形成される」という概念を表すDevelopmental Origin of Health & Disease説が提唱されている。Developmental Origin of Health & DiseaseDOHaD説が示すように、これまでに胎児期の環境が生活習慣病や精神神経疾患など様々な疾患のリスク要因となることが示唆されている。日本をはじめとする先進国において、妊婦のフルクトース摂取は増加の一途をたどっている。本研究では、「DNA methylation」に着目してフルクトースの過剰摂取が胎内環境を介して仔の中枢神経系に与える影響を解析する。さらに、新生仔から成熟期までの長期的な評価することにより、仔の一生涯にわたる影響を明らかとする。本研究では妊娠期のフルクトース過剰摂取が仔の海馬に与える影響をエピジェネティックな視点より解析する。また、行動学的試験を用いて認知機能を評価することで、エピジェネティックな変化と表現型の関連を明らかとする。本年度はDevelopmental Origin of Health & Diseaseに基づきフルクトース過剰摂取のモデル動物の検討・作成をおこなった。また、エピジェネティクス実験の基礎的検討をした。特に、各種遺伝子についてプロモーター部位のメチル化率の変動を解析するために、現有のパイロシーケンサーを用いたバイサルファイトシーケンスによりDNA methylationの定量方法を確立した。
2: おおむね順調に進展している
研究計画どおり順調に進んでいる。
新生仔から成熟期を通して経時的な影響を解析する。行動学的試験を用いて海馬依存の認知機能を評価や仔海馬の神経細胞の機能解析を進める。
実験に使用する消耗品を購入予定である。実験のスケジュールに合わせて、2018年度末から2019年度初めに使用する予定であり次年度に持ち越した。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)
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