研究課題
フルクトースは、誰しもが日常的に摂取する天然甘味料である。消費量はここ数十年で10倍以上に増加しており、様々な疾患の原因になることが知られている。フルクトースの大量消費社会に伴い、妊婦の消費量も増えている。しかし、母体を介したフルクトース摂取が子どもの発達に与える影響は不明であり、科学的な実証が求められている現在、妊婦のフルクトース摂取でも増加の一途をたどっているが、母体を介してフルクトースが次世代の脳神経の発達に与える影響は不明である。本研究では、「DNAメチル化」に着目してフルクトースの過剰摂取が胎内環境を介して仔の中枢神経系に与える影響を解析する。さらに、新生仔から成熟期までの長期的な評価することにより、仔の一生涯にわたる影響を明らかとする。本研究では妊娠期のフルクトース過剰摂取が仔の海馬に与える影響をエピジェネティックな視点より解析する。また、行動学的試験を用いて認知機能を評価することで、エピジェネティックな変化と表現型の関連を明らかとした。神経細胞の機能解析データをもとに関連する遺伝子群の発現を調べた。発現異常が認められた遺伝子についてプロモーター部位のメチル化率の変動を解析した。DNAメチル化の変動は現有のパイロシーケンサーで経時的に解析することができた。DNAのメチル化に変動が見られた一部の遺伝子において、遺伝子発現が変化することを直接示すため、培養細胞を用いてルシフェラーゼアッセイ等により確認した。さらに、プロモーター領域に結合する転写因子のアクセシビリティがメチル化により低下することをChIPアッセイ等で明らかにした。
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