研究課題
嚥下モニターを用いてCOPD患者の嚥下と呼吸の協調性を評価し、嚥下機能と予後の関連を調査した。COPDの外来患者65名(全員男性,71.9歳,%FEV1 58.8%,GOLD I/II/III/IV 10/34/14/7)を調査した。全員がベースラインでは明らかな嚥下障害を示していなかったが、嚥下モニタリング装置を用いることで、20名の患者に、嚥下前に吸気が発生するパターン(I-SWパターン)や吸気直後に嚥下するパターン(SW-Iパターン)など、嚥下と呼吸の異常なパターンが高い割合(25%以上)で見られることを確認した。3年後、5人の患者が追跡困難となり、14人の患者が予後不良(死亡または状態が悪いため追跡調査を中止)となった。予後不良の患者は、I-SW/SW-Iパターンの割合が有意に高く(25%対13%、p<0.05)、予後不良の患者の割合も有意に高かった(8/14対12/46、カイ二乗検定p<0.05)。予後不良の患者は、肺機能が有意に悪かった(%FEV1が低い、IC/TLCが低い、拡散能力が低い)。また、重回帰分析により、嚥下-呼吸の不整合が陽性(25%以上)であることが予後不良の独立した要因であることが明らかになった。また、25名の患者に対して、3年前と同じ方法で呼吸と嚥下の協調性の追跡評価を行った。その結果、呼吸と嚥下の協調性はわずかに改善したが、有意ではなかった(20%から11%、p=0.06)。呼吸と嚥下の協調性不良は、COPD患者の重要な予後因子である可能性がある。しかし、呼吸と嚥下の整合性は、長期間安定した状態であれば、ある程度回復する可能性があり、むしろ協調性の回復は予後の改善につながる可能性があると考えられた。
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International Journal of Chronic Obstructive Pulmonary Disease
巻: Volume 15 ページ: 1689~1696
10.2147/COPD.S257622