超高齢化社会の現代において、医療費や介護費用を削減するために健康寿命を延ばすことは社会的課題である。運動器疾患は健康寿命を縮める主要因の一つであることから、予防や進行抑制が極めて重要である。そのため、運動器疾患の発症を未然に防ぎ進行を遅らせることが期待されており、食生活も重要な役割を果たすと考えられている。代表的な運動器疾患として、変形性関節症・骨粗鬆症が挙げられる。これらの疾患は、要支援・介護状態を招くとともに健康寿命を縮める主な要因の一つであることから予防や進行抑制が極めて重要である。本研究は変形性関節症を予防する食品機能成分による骨粗鬆症の予防効果を明らかにし、双方に有効な食品機能成分を解明することを目的に検討を行った。 軟骨細胞保護効果と破骨細胞分化抑制効果を示す食品機能成分について明らかにするためスクリーニング試験を行い、効果の明らかとなった成分については作用機構の解明を進めた。また、細胞レベルで破骨細胞分化抑制効果を示した食品機能成分について経口摂取による有効性を明らかにするため、老化促進マウスSenescence-Accelerated Mouse Prone 8 (SAMP8)への経口投与実験を行った。飼育期間中には握力測定等の運動機能解析を行うとともに、運動機能と認知機能は密接に関連があることから行動科学試験も実施した。その結果、サワラの木の主成分であるピシフェリン酸がケモカインファミリーを活性化することで破骨細胞の分化を抑制する可能性を明らかにした。また、経口摂取による有効性を明らかにした。
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