研究課題/領域番号 |
18K17991
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
村岡 秀崇 産業医科大学, 医学部, 助教 (80749317)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 低栄養状態 / 維持透析患者 / 冠動脈疾患 / 光干渉断層法 |
研究実績の概要 |
本研究では、冠動脈疾患を有する透析患者を対象に、責任病変に対して薬剤溶出性ステントを留置し、留置時・中間期・慢性期の冠動脈造影施行時に責任病変および非責任病変に対して血管内イメージング装置(光干渉断層法: FD-OCT)による血管壁性状の定性および定量評価を行う。ステント留置時に栄養状態の評価を行い、低栄養状態の有無により2群に分け、非責任病変の動脈硬化進行の有無、ステント内の新生内膜の被覆状況や組織性状に及ぼす栄養状態の影響、さらに心血管イベントの発症について評価を行う。 2019年4月中旬現在、13名が登録された。登録症例の治療時(baseline)の特徴について報告する。年齢は平均72歳、男性が92%であった。古典的危険因子の割合は、高血圧症85%・糖尿病54%であった。脂質低下療法薬(スタチン)の使用は85%でLDL-C値は平均で74mg/dl、ミネラル・骨代謝ではCa/P積は平均37でコントロールは良好であった。 栄養評価については、主観的評価(SGA)や客観的評価(GNRI, CONUT score)を用いて総合的に判断した結果、baseline時の低栄養状態の症例は5症例(38%)であった。 血管内イメージング装置(FD-OCT)を用いた冠動脈プラーク組織性状評価では、線維石灰化プラークが最も多く、中には石灰化プラークが内腔に突出しているもの(石灰化結節)も認められた。これは急性冠症候群につながるプラークとして重要である。また、不安定プラークの代表格であるthin-cap fibroatheroma (TCFA)も一定の割合で存在しており、今後どのように変化するのかを注意深く観察する必要がある。なお、中間期のfollow-upまで追跡できているのが7名(54%)であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
対象が維持透析患者であり、登録症例としてやや限定的であることが理由の一つとして挙げられる。また、冠動脈疾患を疑い血管造影を行うも病変が複数箇所存在し、経皮的冠動脈形成術(PCI)が適さず冠動脈バイパス手術の方針になった症例も存在し、登録症例が増えなかった現状があった。さらに、病変が高度狭窄・蛇行・高度石灰化病変や、病変部位が右冠動脈入口部や左冠動脈主幹部を含む部位であった場合には、FD-OCTの使用が困難になり、他の画像診断装置(血管内超音波)を使用せざるを得ない場合が少なくなかった。
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今後の研究の推進方策 |
透析症例でかつ冠動脈疾患、カテーテル治療の適応になる症例をピックアップする必要があり、難しい面があるが、研究期間内に可能な限り登録症例を増やし、ステント留置時・中間期、さらには慢性期の患者情報・画像データを収集し、解析を行っていく。 平成30年度に引き続き、PCI時点での栄養状態評価に基づき、低栄養群と非低栄養群に分類し、責任病変に対してFD-OCTガイド下に薬剤溶出性ステントを留置する。非責任病変に対してもFD-OCTによる評価を行う。PCI時と中間期(6-8ヶ月後)・慢性期(18-24ヶ月後)に、責任病変および非責任病変において定量的冠動脈造影評価 (最小血管径、対象血管径、狭窄度、狭窄長) に加えてFD-OCTによる定性・定量評価を行う。 非責任病変においては、可能な限り他枝の画像データ取得に努め、できるだけ多くの病変での評価を行うようにする。栄養の指標としての筋力評価においては、客観的な指標の取得に向けて体成分分析装置である「InBody」を積極的に使用していく。 随時データ解析を行い、18-24ヶ月までのデータをまとめ、随時学会での報告を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度は該当患者登録や研究の基本的な枠組み構築に時間を使用し、旅費としての研究費の使用は行わなかった。また、光干渉断層法イメージングカテーテルおよび検査・治療に必要な備品の請求が年度内に間に合わなかったことが理由として挙げられる。次年度は、早期に必要な備品の購入、また情報収集や結果発表のために必要な旅費としても研究費を使用していく予定としている。
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