研究課題/領域番号 |
18K17991
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
村岡 秀崇 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (80749317)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 低栄養状態 / 維持透析患者 / 冠動脈疾患 / 光干渉断層法 |
研究実績の概要 |
本研究では、冠動脈疾患を有する透析患者を対象に、責任病変に対して薬剤溶出性ステントを留置し、留置時・中間期・慢性期の冠動脈造影施行時に責任病変 および非責任病変に対して血管内イメージング装置(光干渉断層法: FD-OCT)による血管壁性状の定性および定量評価を行う。ステント留置時に栄養状態の評価 を行い、低栄養状態の有無により2群に分け、非責任病変の動脈硬化進行の有無、ステント内の新生内膜の被覆状況や組織性状に及ぼす栄養状態の影響、さらに心血管イベントの発症について評価を行う。 2021年3月までに38名が登録された。baseline時の低栄養状態の症例は14症例(37%)であった。臨床背景(年齢・性別・基礎疾患)は両群で有意差は認めなかった。脂質低下療法、ミネラル・骨代謝(Ca/P積)にも両群で有意差は認めずコントロール良好であった。身体測定では、上肢での測定値はいずれも低栄養群で有意に低値であった。「InBody」での測定では、SMIが低栄養群で低い傾向ではあった。定量的冠動脈造影評価では、責任病変の病変長・径および急性期獲得径も両群で有意差は認めなかった。非責任病変でも同様であった。 血管内イメージング装置(FD-OCT)を用いた冠動脈プラーク組織性状評価では、線維石灰化プラークが主体であることは変わらず、石灰化結節の割合が低栄養群で有意に高かった。また、不安定プラークの代表格であるthin-cap fibroatheroma(TCFA)を始め、その他の不安定プラークも一定の割合で存在していた。 中間期では、責任病変の新生内膜は石灰化組織(neoatherosclerosis)の割合が低栄養群で有意に高い結果であった。非責任病変についても中間期において石灰化結節の割合が低栄養群で有意に高い結果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
対象が維持透析患者であり、登録症例としてやや限定的であることが理由の一つとして挙げられる。また、冠動脈疾患を疑い血管造影を行うも病変が複数箇所存在し、経皮的冠動脈形成術(PCI)が適さず冠動脈バイパス手術の方針になった症例も存在し、登録症例が増えなかった現状があった。さらに、病変が高度狭窄・蛇行・高度石灰化病変や、病変部位が右冠動脈入口部や左冠動脈主幹部を含む部位であった場合には、FD-OCTの使用が困難になり、他の画像診断装置(血管内超音波)を使用せざるを得ない場合が少なくなかった。 以上の理由で症例の増加は限定的であったが、研究期間内で慢性期(18-24ヶ月)での評価が必要なこともあり、現在の症例数で研究を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
透析症例でかつ冠動脈疾患、カテーテル治療の適応になる症例をピックアップする必要があり、難しい面が続いているが、研究期間内に可能な限り登録症例を増やし、ステント留置時・中間期(6-8ヶ月後)、さらには慢性期(18-24ヶ月後)の患者情報・画像データを収集し、解析を行う努力をした。 研究も後半にさしかかり、現在の38症例についての臨床背景の変化、心血管イベントの有無を細かく評価していく。PCI時と中間期・慢性期に、責任病変および非責任病変において定量的冠動脈造影評価(最小血管径、対象血管径、狭窄度、狭窄長、late-loss)に加えてFD-OCTによる定性・定量評価を行う。 栄養の指標としての筋力評価においては、客観的な指標の取得に向けて体成分分析装置である「InBody」を積極的に使用しており、代表的な指標であるSMIにて2群に分けるサブ解析も行っていく。 随時データ解析を行い、まずは6-8ヶ月までのデータをまとめ、さらに可能な限り18-24ヶ月までのデータもまとめ、随時学会での報告を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は、体成分分析装置である「Inbody」を購入した。学会参加にて情報収集のための旅費として使用する予定であったが、新型コロナウイルスの影響で自粛せざるを得ず、その分の費用が未使用になってしまった。 次年度は、早期に必要な備品の購入、また情報収集や結果発表のために必要な旅費(現状もコロナウイルスの影響で学会参加の自粛が強いられているが)としても研究費を使用していく予定としている。
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