研究課題
思春期における精神保健対策として、睡眠習慣の改善が求められている。しかし、この改善目安となる「精神保健の観点から最適な睡眠習慣」は、十分に明らかにされていなかった。そこで、思春期のにおける睡眠時間・睡眠時間帯などの睡眠習慣が精神的健康とどのような相互関係を持つのか、睡眠習慣が精神的健康に与える影響に量反応関係があるかについて検討した。調査では、千葉県内の公立中学校4校の中学生2509名を対象として、公立学校の学校教員と協働作成した自記式アンケートを実施した。その結果、平日の睡眠時間(Sleep duration on weekdays)、平日の相対的睡眠中央時刻(Relative mid-sleep time on weekdays)、休日の調整済み睡眠中央時刻が、抑うつレベルが有意(p < 0.05)な相関関係があった。多変量線型回帰モデルを用いた解析結果から、平日の睡眠時間が短いほど、また平日の相対的睡眠中央時刻が早いほど、抑うつレベルが有意に(p < 0.05)高くなることが、男女ともに確認された。これらの量反応関係については、抑うつレベルに対し、平日睡眠時間はU字型関係、平日の相対的睡眠中央時刻は線形関係を示した。本研究の結果から、思春期の中学生において、平日に十分な睡眠時間を確保するだけでなく、平日と休日にいつ眠るかといった睡眠タイミングも、抑うつレベルと関連することが示唆された。本知見は、思春期のメンタルヘルス支援策の検討に対して貢献しうると考えられる。また、今後は、本調査で整備された縦断調査データや、加速度計を内蔵した小型モニタリング機器による睡眠覚醒リズムと睡眠の質の評価により、両者の関係の機序を解明する研究が望まれる。
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Chronobiology International
巻: - ページ: 1-10
10.1080/07420528.2020.1746796
予防精神医学
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