研究実績の概要 |
本研究では、現在の日本人高齢者の食品摂取の多様性を適切かつ簡便に評価可能な『改良版食品摂取の多様性得点(DVS)』を開発し、その妥当性およびフレイル予防に対する有用性を検証することを目的としている。 今年度は、DVSおよび前年度に作成した改良版DVSと炎症性マーカーとの関連を検討した。解析対象は2012年鳩山コホート調査または2013年草津縦断調査に参加した65歳以上の地域在住高齢者1072名とし、DVS(熊谷ら、2003)、改良版DVS(MDVS1、MDVS2)と、高感度CRPおよびIL-6との関連を比較検討した(IL-6との関連については、IL-6の測定が実施できた草津縦断調査の参加者のみ(n=499)を対象とした)。性・年齢を調整した重回帰分析の結果、高感度CRPについては、統計的に有意ではないものの、DVSが高いほど高感度CRPが低い傾向を示したが(標準化偏回帰係数(β)=-0.060, P=0.051)、MDVS1(β=-0.026, P=0.403)、MDVS2(β=-0.013, P=0.669)とは有意な関連がみられなかった。IL-6については、DVSのみ有意な関連がみられ(β=-0.149, P=0.001)、MDVS1(β=-0.057, P=0.197)、MDVS2(β=-0.055, P=0.216)は有意な関連がみられなかった。以上の結果から、摂取量を加味し、構成食品の追加や各構成要素の重みづけを行った改良版DVSは、炎症性マーカーと関連しないことが示唆された。
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