(1)局所パターン学習の枠組みを,マルチインスタンス学習と呼ばれる問題の一つとして一般定式化した.(2)局所パターンを用いた分類仮説クラスの汎化性能を理論的に示した.また,本理論を時系列分類問題における局所パターン学習(時系列解析分野ではShapelet 学習と呼ばれる)に適用し,Shapeletと呼ばれる局所パターンを用いた仮説クラスの汎化予測性能を,世界で初めて示した.(3)提案した学習問題を効率的に解くアルゴリズムを提案した.無限の制約条件をもつ最適化問題を,列生成法を用いてマージン最大化を行うLPBoostと呼ばれる枠組みで解く方法となっている.LPBoostを適用する際に解く必要がある副問題(弱学習問題)は,無限次元空間上の最適化問題となっているが,表現定理と呼ばれる定理が成り立つことを示すことで有限次元空間上の学習問題とし,さらに非凸最適化問題を近似的に解けることを示した.(4)時系列分類タスクに提案手法を適用し,複数の最新手法と比較した.最も良い手法よりもはるかに効率的でありながら,匹敵する精度を残した.また,通常のマルチインスタンス学習においても十分に高い性能を残すことも示した.なお,成果の大部分は1つの論文にまとめ,Neural Computation に採録決定済みである. また,署名照合やデザイン解析におけるランキング学習の適用,オンライン物体追跡問題など,様々な機械学習のタスク,問題に取り組み,多くの研究成果が得られた.これらの研究を通し,本研究の骨子となった「マルチインスタンス学習の枠組みに基づく学習問題の一般化」が幅広く展開可能であることがわかった(IBIS2019で発表).
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