研究課題
本研究課題では，簡潔で高速な文字列処理アルゴリズム開発への新たなアプローチとして，Lyndon 文字列や Lyndon 文字列に基づいたデータ構造の未知の性質を明らかにし，それらを用いたアルゴリズム開発を目的としている．この目的のために，Lyndon文字列に関連するトピックを中心に，様々な文字列処理アルゴリズムに関する問題に初年度に引き続き取り組んだ．その結果，12報の論文を査読付き国際会議にて発表，1報の論文を査読付き国際学術雑誌にて公表している．特にこれらの成果のうち，本研究課題の核となる Lyndon 文字列に関する重要な成果の概要を以下に示す．成果 1) Lyndon 木と呼ばれる Lyndon 文字列の構造を表現する全二分木データ構造の性質に関する成果である．特定のサイズの全二分木を Lyndon 木として持つ文字列のアルファベットサイズの条件に関しての知見を得ている．2) Lyndon 分解と Lempel-Ziv 分解と呼ばれる2つの文字列分解の関係に関する成果である．これらの分解はそれぞれ重要な性質を持つことが知られているが，一見すると直接的な関係がなさそうな分解である．この2つの分解のサイズに関して一定の関係があることを示している．その他の研究成果については，繰り返し構造や回文といった文字列中の特徴的な構造発見，文字列照合問題のためのデータ構造など，文字列情報学の発展に寄与する重要な成果である．また，その他の関連する研究テーマについてすでに成果を得ており，国際会議，国際学術雑誌等での公表に向けて準備中である．
2: おおむね順調に進展している
研究業績の概要に示したように，本研究課題の核となるLyndon文字列に関する研究成果2件を中心に，文字列処理アルゴリズムに関する研究成果が得られている．そのため，本研究課題はおおむね順調に進展しているといえる．
先に示したように，本研究課題はここまで順調に進んでいるため，次年度も計画に基づき推し進めていく予定である．
コロナウイルス感染症拡大の影響を受け，学会等が中止になったため，次年度へ繰り越す．
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 1件、 査読あり 13件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (12件)
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