研究課題
前年度に引き続き,下限充足率最大安定マッチング問題に取り組んだ.この問題は,選好をもった人々と組織との間でのマッチングに関する最適化問題である.安定性と呼ばれる性質をもったマッチングのうち,各組織の割当人数に関する下限制約の違反度合いがより小さいものを計算することを目標とする.前年度に近似アルゴリズムを設計した際には,入力に対して近似比解析の都合のための仮定がいくらか置かれており,これらはアルゴリズムの適用範囲を狭めてしまうものであった.本年度はこの仮定を外したより一般的な設定に対して近似アルゴリズムを設計し,それが既存アルゴリズムを用いた素朴な手法よりも良い近似比を達成することを示した.目的関数自体についてもいくつかのバリエーションを考えた.前年度までは目的関数として,割当先組織の充足率の和の最大化のみを考えていたが,下限制約をもつマッチング問題における解の望ましさの基準は,個々の問題の背景に依って様々である.そのため,充足率の和の最大化以外にも,充足率の最小値の最大化や,充足率1の組織の数の最大化などといった最適化問題を定式化し,その計算困複雑度を明らかにした.また,有向枝と無向枝が混在するグラフ(混合グラフ)における,マッチング構造や被覆構造の性質についての研究を行った.これらの構造の多面体的な性質を明らかにし,効率的な最適化アルゴリズムが存在することを示した.また,与えられた混合グラフをそれらの構造に均等に分割するアルゴリズムを設計した.
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
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