【最終年度の成果】 (1) 近年集団スポーツにおいて用いられるトラッキングデータはフィールド上の絶対座標を記録したデータであり,通常は上空からの俯瞰視点の可視化がなされる.しかし,実際の試合分析においては,プレー中の選手からどのように見えるかという選手目線の情報が重要となる.そこで,トラッキングデータの位置座標を用いて選手目線の3次元映像を推定するアルゴリズムを提案した.本研究成果は第11回スポーツデータ解析コンペティションのサッカー部門において発表し,最優秀賞を受賞した. (2) 1年目に人間の姿勢を人体の特徴点で構成されるフォーメーションと捉え,フェンシングの姿勢解析に取り組んだ.本年度は,2つのアングルから撮影された卓球の試合映像が手に入ったため,DLT法を用いた3次元座標推定に取り組んだ.本研究成果は第11回スポーツデータ解析コンペティションの卓球部門において発表し,優秀賞を受賞した.
【研究期間全体の成果】 本研究課題の目的は,集団スポーツのフォーメーション形成に対してドロネーネットワークを用いた解析手法を確立することであった.研究期間前半では,ドロネーネットワークと階層的クラスタリングを用いたフォーメーションの分類手法を提案し,サッカー,フェンシング,Vicsek modelという異なる対象に適用した.これにより,本枠組みが少数多体系一般に適用可能な汎用的手法であることを示した.研究期間後半では,ドロネーネットワークと双対なボロノイ領域からヒントを得て,サッカーにおけるスペース評価の新たな手法を提案した.本手法は今後,試合分析への応用が期待される.最終年度においては,試合映像から3次元座標を推定するシステムを構築した.今後はこのシステムを足がかりに,対戦型スポーツを中心とした姿勢解析へと展開することが期待される.
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