研究課題
2年目である2019年度は、ノイズ空間の強スパイク構造に基づいた高次元多標本問題に対する検定手法、高次元相関行列の検定手法、高次元共分散行列の構造検定手法に関する新たな結果を与えた。初年度に引き続き、高次元データ空間を潜在空間とノイズ空間の2つに分けて考え、ノイズ空間の強スパイク構造を利用した高次元多標本検定手法を与えた。高次元相関行列の検定は、遺伝子発現データにおいて、特定の遺伝子の作用を調べたり、同じ機能を持つ遺伝子のグループを見つけたりする際に有効な手段である。遺伝子発現データは、ノイズ空間が強スパイク構造をもつことが多いため、その構造に基づいた検定手法を提案した。また、高次元共分散行列の構造検定について、既存の手法では仮定が厳しく実際に使用することが困難であったが、提案した手法では仮定を緩め、理論的にも精度をきちんと保証した手法を提案した。与えた検定手法は、体系的な理論によりきちんと精度保証がされるものである。これらの手法の有効性や、既存の手法との使い分け等についても、シミュレーションや有名な遺伝子発現データを使ったデータ解析で与えている。本研究成果は、学術論文として纏められ、既に出版をされている。また、研究成果の報告として、日本数学会や統計関連学会連合大会など、理論から応用まで含めた学会で口頭発表を行った。特に、アメリカや台湾で開催された国際学会での招待講演や、科研費シンポジウムでの招待講演なども行い、国内外で、広く研究成果発表を行った。
2: おおむね順調に進展している
2年目である2019年度は、強スパイクするノイズ空間の構造に基づいた高次元多標本問題に対する新たな検定手法・高次元相関行列の検定手法・高次元共分散行列構造に関する検定手法を与え、学術論文として纏め、既に出版されている。さらに、招待講演や特別講演など、国内外の学会やシンポジウムで研究成果を積極的に発表している。このような点から、進捗状況はおおむね順調に進展していると評価する。
2019年度の特に大きな結果は、高次元共分散行列の構造検定について体系的に扱い、理論を構築したことである。次年度以降はその知見を活かし、別の特徴をもつ高次元データに対して新たな理論や方法論の構築を目指す。
次年度に研究課題を遂行するために必要なPCを購入予定のため、その費用に充てる。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
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