研究課題/領域番号 |
18K18015
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
石井 晶 東京理科大学, 理工学部情報科学科, 助教 (20801161)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高次元データ解析 / 強スパイク構造 / 高次元二標本検定 |
研究実績の概要 |
3年目である2020年度は、ノイズ空間の強スパイク構造に基づいた高次元平均ベクトルの2標本検定について新たな結果を与えた。 高次元データ空間を潜在空間とノイズ空間の2つに分けて考え、ノイズ空間の強スパイク構造を避けるようなデータ変換技術を応用した高次元平均ベクトルの2標本検定手法を与えた。特に、遺伝子発現データはノイズ空間が強スパイク構造をもつことが多く、そのスパイク度合いは遺伝子ネットワーク等の強い相関構造に依るものである。ノイズ空間の強スパイク構造により、潜在空間である2母集団の平均の差異が覆い隠されてしまうという困難がある。そのため、ノイズ空間に埋もれる潜在構造を如何に抽出するかということが重要である。本研究では、データ変換技術を応用することで、2母集団の平均の差異を取り出すことに成功した。その際、先行研究で必要であった仮定を緩めることに成功した。さらに、提案手法について、先行研究よりも緩い仮定のもとで理論的な精度保証を与えた。理論的な精度は小標本のもとで保証することができ、実際のデータ解析においても非常に有用な結果である。 提案手法の有効性や、既存の手法との使い分け等についても、シミュレーションや有名な遺伝子発現データを使ったデータ解析で与えている。 本研究成果は、学術論文として纏められ、既に出版されている。また、研究成果の報告として、日本数学会や統計関連学会連合大会など、理論から応用まで含めた学会で口頭発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
強スパイク構造をもつノイズ空間の更なる解析と理論的な体系作りをした。得られた結果を学術論文として纏め、既に出版されている。さらに、国内の学会で研究成果を積極的に発表している。このような点から、進捗状況はおおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度で得られた高次元データの持つ強スパイク構造に関する結果や知見、体系的な理論を、遺伝子発現データ等とは異なる強スパイク構造をもつ高次元データへ応用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は新型コロナウィルスのために2件の国際学会が延期・中止となった。次年度に既に2件の国際学会招待講演が決定しているため、その発表に関する環境整備の資金として使用する。
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