研究課題/領域番号 |
18K18021
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
有間 英志 東京大学, 情報基盤センター, 特任助教 (50780699)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ハイブリッドメインメモリ / データマネジメント / 電力マネジメント |
研究実績の概要 |
本研究では、HPCシステムにおけるメインメモリ、特にハイブリッド型のメインメモリに焦点を当て、Pattern-Aware Stagingと呼ぶデータ転送最適化手法を提案した。具体的には、あらゆるメモリの実効バンド幅は、その上でのアクセスパターンの影響を強く受けるという、メモリアーキテクチャにおける普遍的特性に着目しており、これを各データチャンクのメモリ間転送に関する意思決定に利用している。特に本研究の独創的な点として、Helper Thread Prefetchingを応用した実行時アドレスサンプリング手法及びBloom Filterを用いたアクセスパターン認識手法が挙げられる。本年度は、理論部分の再検討及び、追実験を行った上で、論文の再投稿を行い、結果としてHPC分野で著名な国際会議であるISC HPC 2020に採択された。加えて、当該システムにおける電力制御にも着手した。具体的には、CPU、高速メモリ、大容量メモリへの電力割り当てを、アプリケーションの特性、問題サイズ、ノードの電力制約に応じて最適化するというものであり、これを行うための、問題の定式化、モデリング、効率的係数調整手法、割り当てアルゴリズム、及びソフトウェアフレームワークの提案を行った。特に、当該システム上では問題サイズに応じて最適電力割り当てが大きく変化することに着目しており、FPCAP(Footprint-aware Power CAPping)と呼ぶ新概念を提唱し、これに基づき上記提案を行った。本研究に関しても、前述の国際会議ISC HPC 2020に論文を投稿し、論文が採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、アクセスパターンに着目した、コンパイラによるデータ転送最適化手法を提案し、結果としてHPC分野における著名な国際会議に論文が採択された。一方、当初予定していたOS/アーキテクチャによるデータ転送最適化に関しては、計画通りには進まなかったものの、その代替として、電力制御手法に関する研究を実施し、結果として、本研究に関しても、HPC分野における著名な国際会議に論文が採択された。以上の理由により、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
前述の国際会議での発表及び、その他国際会議・研究会でのアウトリーチ活動等のため、研究期間を延長した。パンデミックが収まり、オンサイトでの国際会議・研究会等が可能になれば、これらを行う。また、提案手法のハンドコーディング部分に関して、コンパイラによる実装作業を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述の国際会議ISC HPC 2020での発表が2020年度中のため、研究期間を延長し、研究費を2020年度に繰り越した。その他国際会議・研究会でのアウトリーチ活動等にも繰り越した研究費を利用する。
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